臨床心理士って何かしら?
臨床心理士という職業名を聞いたことがあると思いますが、具体的にはどのような業務内容なのか把握している人はそう多くはありません。
また、臨床心理士になりたいと思ったとき、どうやったらなれるのかよくわからない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は「臨床心理士」とはどんな業務をおこなう仕事なのか、そしてどのようにしたら臨床心理士になれるのか説明します。
臨床心理士とは
臨床心理士とは、心の問題を抱えた人に対して、臨床心理学の知識や技術を用いて心理的な問題を解決する専門家です。
公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が実施する試験に合格し、認定を受けることで臨床心理士と名乗ることができます。
2018年4月1日現在、34,504人の臨床心理士が認定されています。
また、臨床心理士資格は一定の研修を受講し、5年ごとの更新が必要となります。
2018年4月1日現在、臨床心理士の有資格者数は32,354名となっています。
臨床心理士の業務内容とは
臨床心理士の主な業務は、心理学の知識を用いて心の問題を抱えた人に対してカウンセリング等をおこない、心の問題を解決することです。
具体的には、カウンセリングなどの対話を通じてどのような問題を抱えているのか明らかにし、問題を和らげるもしくは解消していくということをおこないます。
心理カウンセリングには精神療法や来談者中心療法、論理療法、行動療法などいくつもの手法があり、相談者の問題の改善に適切と思われるものを選択して実施します。
また、様々な心理検査を用いて問題解決のアプローチを図ることもあります。
臨床心理士になるには
臨床心理士は財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定した資格です。
臨床心理士の資格を取得するにはまず受験資格を得る必要があります。
ではどのようにすれば精神保健福祉士の受験資格を得られるのか説明します。
大きく分けると3つの方法があります。
- 第一種指定大学院を修了すること
- 第二種指定大学院を修了後、心理臨床経験を1年以上経験すること
- 専門職大学院を修了すること
この3通りです。
以下の画像で確認しましょう。
臨床心理士│資格試験の日程や合格率について
臨床心理士│資格試験日程
臨床心理士の資格試験は、
- 筆記試験の一次試験
- 口述面接試験の二次試験
の2つに分かれています。
資格試験の日程は、
- 一次試験は10月中旬ころ
- 二次試験は11月中旬~下旬ころ
- 合格発表は12月下旬ころ
です。
試験場所は東京です。
平成30年の臨床心理士試験では、
- 一次試験は東京ビッグサイト
- 二次試験は東京国際フォーラム
にて実施されました。
臨床心理士│資格試験合格率
ここ10年間の受験者数と合格率の平均を見てみます。
- 受験者数:2,616人
- 合格者数:1,625人
- 合格率:62.1%
となっています。
臨床心理士試験合格者の累計は34,504人です。
臨床心理士は5年毎に更新が必要で、現有資格者数は32,354名となっています。
臨床心理士│就業場所
臨床心理士としての就業場所は、さまざまなところがあります。
- 医療・保健機関
- 福祉行政機関
- 司法施設
- 教育機関
- 一般企業
臨床心理士の就業場所│医療・保健機関
就業場所の例としては、
- 医療機関の精神科や心療内科、小児科
- 保健所
- 保健福祉センター
などがあります。
心の問題を抱えている人、病気やケガを負っている人への心理的援助をおこないます。また本人だけではなく家族の心理相談もおこないます。
その際におこなうのは心理テストや心理療法、カウンセリングを中心とした活動です。
また、市町村の保健センターや乳幼児の健康診査や発達相談をおこなうこともあります。
臨床心理士の就業場所│福祉行政機関
福祉行政機関においては以下の場所で業務をおこないます。
- 児童相談所
- 療育施設
- 心身障害者福祉センター
- 就労支援作業所
- 老人福祉施設
などがあります。
児童相談所や療育施設においては子どもに対する心理療法や保護者への相談・助言をおこないます。
障害者福祉施設や就労支援作業所では、障害者への支援や心理的な援助方針の策定をおこないます。
老人福祉施設では認知症患者の対応や援助方針の策定をおこないます。
臨床心理士の就業場所│司法施設
司法施設においては以下の場所で業務をおこないます。
- 家庭裁判所
- 少年鑑別所
- 少年院
- 刑務所
などがあります。
各施設にてカウンセリングや集団療法をおこないます。
また、犯罪被害者の相談支援活動もおこないます。
臨床心理士の就業場所│教育機関
教育機関においては以下の場所で業務をおこないます。
- 小中高等学校
- 教育委員会
- 大学
- 専門学校
などがあります。
教育機関における臨床心理士の役割には2つあります。
- スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー
- 大学や専門教育機関にて心理学を教える講師
小中高校において、スクールソーシャルワーカーやソーシャルカウンセラーと呼ばれ、子どものケアやいじめ、不登校問題など、学校で起こる問題の解決をはかる業務に当たります。
また、大学や専門教育機関において心理学を教えるという業務もあります。
これは未来の臨床心理士など心理職を目指す人を育成する役割です。
臨床心理士の就業場所│一般企業
一般企業で働くことも可能です。
その場合は、職場でのストレスやうつ病対策のソーシャルワーカーとして、もしくは産業カウンセラーとしての役割を求められます。
また企業のコーチングとしての役割を求められることもあります。
その場合は企業での就労経験があったほうがよいでしょうね。
臨床心理士│給料・年収について
臨床心理士の平均年収は300万円から500万円と言われています。
臨床心理士の資格を取得後にすぐに常勤職につけるとは限りません。
多くの場合は経験が求められるので、はじめは非常勤からのスタートになるでしょう。
そうなると時給1,000円程度から始まることも少なくはありません。
そのため、いくつかの職場を掛け持ちし、経験を積んで常勤職へステップアップする人が多いようです。
また、常勤職になったあとでも年収は頭打ちになることが多いので、年収をもっと上げたいという場合は講演や本の執筆、副業としてカウンセリングをおこなう必要があります。
ただしフリーのカウンセラーとして稼げるようになるまでは常勤・正社員として働くほうが福利厚生などのメリットを享受できるでしょう。
最後に
臨床心理士資格は最も信頼性のある民間の心理職資格です。
しかし受験資格がほぼ同じである公認心理師という国家資格が誕生したので、今後も臨床心理士資格を取得しようとする人がいるのかどうかは不明なところです。
とはいえ、心理職としての地位が揺らぐことはないので、現在臨床心理士資格を取得済みの人はぜひとも活用してほしいところです。
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最後まで読んでくれてありがとうございました。
モリ(@ijumori)でした。