こんにちは、モリ(@ijumori)です。
先日、縁あって新進気鋭の林業家と対談をさせていただく機会がありましたのでそのことをお話したいと思います。
新進気鋭の林業家と対談をした話
どういった経緯でお話をすることになったかというと、SNSで林業家募集の投稿があったので、話を聞かせてくださいとぼくの方からお願いをしたのです。
新進気鋭の林業家さん、お話聞かせてください
いいよー、いつ来る?
本当にこんな感じで会うことになりました。
自伐型林業は遊びだよねと一蹴
とある駅前で待ち合わせをしました。
ぼくが着いたときにはすでにいらっしゃってました。
ごあいさつもそこそこに車で現場まで連れて行ってもらいました。
以下は車内での会話です。
よろしくお願いします。ぼくは林業未経験なのですが、行く行くは自伐型林業をやりたいと思ってるんです
自伐?やめたほうがいいよ、あんなの
車に乗ってすぐのことです。いきなり一蹴されました。
やばい、巻き返さねば。
必死になぜ自伐をやりたいのかを説明しはじめました。しかし、
自伐って中嶋がなんかやってるやつだろ?あいつの言うことは真に受けたらだめだよ。だって、あいつが言ってることがほんとだったら俺いま億万長者になってるよ
そ、そうですか。
中嶋の言うことはしょっちゅう変わるんだよ。俺も何回か講演聞きに行ったけど、内容ころころ変わってるからね。
作業道幅が2メートルって言ってたと思ったら、別のところでは4トントラックが入るくらいの道を作れだとか
たしかに、言ってることが変わっている。
しかしこれは実践をしていく中での「カイゼン」なのかもしれない、と思いながら話を聞く。
しかも中嶋が言うほどの材価はありえない。いつの時代の話だっちゅうことだよ。しかも初期投資が安く済むようにちっちゃい道つくって、ちっちゃい林内車業者で木運ぶっていうんでしょ。一回で何本運べるのよ。それでいったいいくらになるっていうの
たしかにそうですよね。でも中嶋さんもおっしゃってるように専業で成り立つものではなくて、何かしら兼業で行うことを推奨してますよね
だからそんなのは遊びだって言うんだよ。何かしっかりとした柱がないと自伐なんかやってけないよ。
例えばさ、米農家とか、まあなんでもいいけど農業が本業でしっかりと稼ぎが見込めて、それで自伐で林業やるってんならわかる。
でも中嶋は小規模投資だから自伐は成り立つって吹聴してるんだもん。それがおかしいっていうんだよ。成り立つわけがない。中嶋が言うのが本当だったら俺いま億万長者だもん
…億万長者……
そうこう話しているうちに現場に到着した。
林業はビジネスだよ
ここがいま俺がやってる現場。ここを皆伐して、切った木全部売ってる
皆伐ですか。木切ったあとはどうするんですか?
なにもしないよ。だって木植えるのにお金かかるじゃん。俺は木を切って運んで売る人。補助金とかないと植林する人なんていないんじゃないかな。
なんかさ、皆伐っていうと環境破壊だってよく言われたりするんだけどさ、禿げ山にするような大規模な伐採してるところなんてないじゃん。俺だってここ皆伐しても周り見てよ。まだこんだけ木生えてるんだよ。禿げ山にできるほど木なんて切れないよ。
それとさ、いままで手入れもせずに放っておいたくせに、木を切ると文句を言われるのはおかしいと思うんだよね。そう思わない?
いやはや熱い男だ。しかも言い得て妙だ。
俺はさ、ボランティアでやってるんじゃないんだよね。ビジネスとして林業をやってるわけ。そしてさ、ここに生えている木は切って売るために植えられたんだよ。それを今の時代に俺が切って売ってるっていうだけだよ。
誰かがやらなきゃ。林業組合?あんなのは天下り団体みたいなもんだからだめだよ。ここの伐採をするときもさ、森林組合には仕事増やさないでくれよとか言われたし。テメーらが何もしないからこんなになってるのに、そこに手を入れたら文句だけ言う。おかしいよ。
それでさ、やっぱり自伐がだめな理由はもう一つあってさ、それはスピード感なんだよね。自伐はちまちま伐って10年後20年後とか先まで考えて施業するっていう考えでしょ。それじゃ、遅いんだよ。俺は林業をビジネスとしてみてる。
これだけ衰退してるって言われてやる人がいないってことはだよ、逆にチャンスだと思わない?この木もあの木も俺が切って売って商品になるんだよ。誰も切らなかったらなんにも生み出さないでずっとそこにあるだけのものをだよ
なるほど。たしかに自伐は長期計画のもと、施業していきますからスピード感はないですね
それでやっていける人なら自伐でもいいんだよ。でも殆どの人が10年後20年後にいくらになるかよりも明日ご飯が食べられるかのことを考えている。
そう考えると、いま目の前にある木を切って売るのが当たり前のことなんじゃないかと思うし、地域の木材をお金に変えられるのなら地域にとってもいいことなんじゃないかと思うんだ。お金になるんだってわかればもっと山や木に目を向ける人が増えるよね。そうすると木を使う意識が高まるんじゃないかなって思う。
でも切っても売るところがなければだめだよね。買う方もどうやって使うかを考えないと買えないよね。俺は運良くチップ製材会社とつながりがあって、そこが全部買い取ってくれるから皆伐して売ることができるんだけど。
よく川上から川下とかいうけど、俺は川上で木を切る人で、川中、川下とつながりがないといくら自伐で自分で切って自分で運んで自分で売りましょうって言っても簡単にできるもんじゃないんじゃないかな
しっかりと考えた上で林業を行っていた。川中、川下の人脈作りにも力を入れているそう。そして、人を育てることをこれからはしたいんだとも言っていた。
やりたいことはいっぱいあるんだけど、人手が足りなくて
熱男は熱い男だ。もしかすると、衰退しきった林業を変える救世主になる人かもしれない。
もしくは、これからの林業界のトップランナーになる人なのかもしれない。
これからの林業のあり方
今回、熱男の話を聞いて感じたこと。
それは、自分のやる林業にビジョンがあるかどうかということ。
木を切って使う。川上から川下まで考えて行うのが林業家としての務めだと思う。
切って売って使う。
このサイクルが回れば搬出量も安定するし、材価も上がるのではないか。
切ってもお金にならないから切らない、では林業の未来はない。
熱男と中嶋さんの目指しているところは同じはず。やり方に違いがあるだけだと思う。
そうであるならば、ぼくは自伐型林業が成り立つやり方を広めていきたい。
今回お話を聞かせてもらい、改めてそう思った。
まとめ
林業界はどん底にある。
中嶋さんは自伐型林業というやり方で林業を変えようとしている。
熱男は川下の企業を確保し、目の前にある木をお金に変えようと努めている。
林業界はいま、変わろうとしているのかもしれない。
ここで動かなきゃ、ずっと変わらない。ずっとどん底のままだ。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
モリ(@ijumori)でした。
その他「自伐型林業」に関するまとめ記事はこちらからご覧いただけます。
その他「地域おこし」に関するまとめ記事はこちらからご覧いただけます。