こんにちは、モリ(@ijumori)です。
地域おこし協力隊制度が始まってから10年目に突入しました。
始まりは平成21年。実施自治体数31、隊員数89名でスタートしました。
最新のデータによると、平成30年度現在では実施自治体数1,061、現役隊員5,359人が全国各地でそれぞれ活動しています。
地域おこし協力隊制度が始まった平成21年と比べると、実施自治体数は34倍、隊員数はなんと60倍にまで増えています。
地域おこし協力隊の任期期間は1年間で、最長でトータル3年間まで延長することができます。
つまり協力隊を1年で辞める人もいれば3年間務める人もいるのです。
制度が始まって10年目。すでに元協力隊員が少なく見積もっても3,800人ほどいると思われます。
そんな彼らのその後について、総務省のデータをもとに読み取っていきたいと思います。
地域おこし協力隊の任期終了後の定住状況を調べてみた
地域おこし協力隊の活動の任期は1年間となっていて、その後は自治体、協力隊双方の話し合いにより最大3年間まで活動することができます。
平成29年3月末までに任期終了した隊員は2,230人。
任期終了後の隊員についての調査結果を見てみると、48%が活動地と同じ市町村内に定住をしているという結果になっています。
また、活動地の近隣市町村内に定住している隊員は14%となっています。
合わせると6割以上の隊員が同じ地域もしくは近隣地域に定住していることがわかります。
前回の調査(平成27年度)では、活動地と同じ市町村内に定住をしている隊員は47%、活動地の近隣市町村内に定住している隊員は12%だったので微増しています。
定住する理由がちゃんとつくれれば、任期終了後もその地域で生活をしていけるんですね。
では、協力隊としての活動終了後にどんな活動をしているのか次に見ていきます。
定住した地域おこし協力隊の任期終了後の活動を調べてみた
では、定住した隊員の任期終了後にどんな活動をしているのか調べてみました。
29%が起業、47%が就業、14%が就農し、それ以外はその他や未定という結果です。
起業をした人の多くは飲食業、小売業、宿泊業など地域資源を活用した活動をおこなっているようです。
次いで、まちづくり活動として集落支援や移住定住支援、観光支援などをおこなっている人も多いですね。おそらく地域おこし協力隊としておこなってきた活動の延長上の活動ということでしょう。
また、ライターやデザイナーなどクリエイターとして定住し活動をしている人もいます。PCやネットが繋がればどこでも仕事ができるという人たちですね。
就業した人では、民間企業や地方自治体、観光協会や道の駅や森林組合など、協力隊の活動を終えたあとにそのまま就職となっている人が多いようです。
就農については、これも協力隊の活動で、農業関係の業務をしていた人がそのまま新規就農したのでしょう。
以上のことから考えると、地域おこし協力隊の業務内容が具体的に決まっている活動をしてきた隊員はそのまま就業して同じような活動を仕事とし、ゼロからイチを生み出すことを求められている隊員は、起業をして自分がしたいことや地域でできることをする傾向があるのかなと推測します。
地域によって課題が違うので、起業する人が増えればいいのか、定住する人が増えればいいのか、何が正解とはいえませんが、ひとりでも多くの隊員が地域で活躍できるといいですね。
ですが、すでに何十人と協力隊を採用してきた地域もあればまだこれから初めて採用する地域もあり、採用する側も運用の仕方がだんだんとわかってきているとは思いますが、応募する側もハズレ地域を引かないように情報を集めたり注意しないといけません。
これからの地方・地域のあり方はどうすればよいのか
人口減少社会で、都市部への一極集中思考が根強くある日本で、これから発展していく地方はまずありません。
しかし全体が縮小していく中で、それでも他地域よりも明らかに衰退するスピードが早い地域には衰退する必然的な理由があると私は思っています。
衰退すること自体を解決することは難しいのですが、いくぶんでも衰退するスピードを抑えるためのヒントとなりそうな取り組みが伊豆の修善寺でありました。
経営支援付きの住宅+オフィス12社が連携し新事業に挑戦
温泉地として有名な伊豆・修善寺に、2016年3月にオープンした「.tree修善寺(ドットツリー修善寺)」。12棟の2LDKメゾネット住宅と小規模オフィスが建ち並ぶ、コンセプト賃貸物件だ。敷地内にはバーベキューやマルシェ開催にも使える芝生のフリースペースもある。
ここで暮らし、働いているのは、伊豆市内外から移り住んできた観光事業者やITエンジニア、一級建築士などの多彩な才能たち。行政や金融機関とのビジネスマッチングや広報企画などの幅広い経営支援を受けながら、入居者同士のコラボレーションが活発に行われている。
ドットツリーは、地元の建設資材会社の古藤田商店がオーナーとなり、NPOサプライズがプロジェクトデザインを担当。移住定住促進と産業育成という、本来ならば行政が担う役割を、100%民間出資で実現しつつある。
地方創生の検証と対策 │ 事業構想より引用
このドットツリーはとてもおもしろい取り組みです。
ドットツリーは住宅兼オフィスをギュッと1箇所に集めるという取り組みです。
しかも1業種1社という決まりなのでここに集まったオフィスはすべて異業種ということになります。
そしてすでに異業種で協業していると聞きます。
ギュッと集めるから、人が集まりやすくなるんですね。
別の事例も取り上げてみます。
それは宮崎県日南市にある油津商店街です。
全国に増え続けているシャッター商店街。
油津商店街もその1つでした。
シャッター商店街できる理由として、近隣に大型スーパーができたり郊外にショッピングモールができ、お客さんを取られてしまうことがよく挙げられます。
しかし商店街もある意味ショピングモールと考えることができないでしょうか。
そう考えると郊外のショッピングモールができたから衰退したと単純に決めつけることはできません。
そこで油津商店街では、空きスペースにコンテナを設置し、お店を開きます。
使われていない場所を活用し、人が集まる拠点をつくっていきます。
商店街イコールお店が並んでいる、という考えから脱却し、保育所やIT起業が入居するテナントもあるのです。
そうやって子育て世代や働く人々、そして昔から住んでいる住民が混在する場所へとなっていったのです。
油津商店街の場合も異なる属性の人々をギュッと集めたところが成功につながったのではないかと考えられます。
これが昔ながらの商店街の復活を目指す事業であれば、おそらく失敗していたでしょう。
人が集まることができる場所を生み出すことが地域再生のヒントになりそうです。
地域おこし協力隊が任期終了に向けて地方・地域でやるべきこと
伊豆のドットツリーや日南市の油津商店街のような、人が集まれる場所づくりをすることで地域が盛り上がる成功事例がいくつかありますが、それは数えるほどしかありません。
ほとんどの地域では地域活性化事業は失敗しています。
地域によって課題はそれぞれ違うと思いますが、どこも共通していることは、地域に元気が無いことです。
「ダーツの旅」や「家族に乾杯」などのTV番組で、地元の人が誰もいないような光景をよく目にします。
それは行くところがないからではないでしょうか。
なので現役の地域おこし協力隊の人へ提案があります。
各自の任務をベースに人が集まれる場所づくりをしてみませんか?
ドットツリーのような小さなオフィス街や油津商店街のような世代を超えた人が集まるスペースのような。
任期を終えた隊員と、現役の隊員がタッグを組んで、このようなエリアをまずは1つ、つくってみる。
この取り組みがうまくいけば、現役の隊員の任期後の働く場所が確保できますし、協力隊の活動でもあるので自治体からの支援も受けやすいのではないでしょうか。
地域によって課題は違うので、商店街のようなものがいいのか、それともオフィスエリアがいいのかわかりませんが、ギュッと集めた何かをつくってみてはいかがでしょうか。
それで地域が元気になれば最高だと思いませんか?
最後に
地域再生事業の成功例は本当に少ないです。ほとんどが失敗しています。
ある役場の担当者からこんな話を聞きました。
地域活性化や地方創生という話はあるけれど、本当に望んでいることは住民がしあわせに暮らしていけることなんだよなぁ、と。
地元住民の思いはただそれだけなのかもしれません。
でもせっかくその地域に関わることができたのですから、ぜひ地域が元気になるような活動をこれからもおこなっていってください。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
モリ(@ijumori)でした。
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