こんにちは、モリ(@ijumori)です。
地域おこし協力隊の募集内容が少しずつ変化してきています。
制度が始まって以来、多くの地域で導入したもののうまく行かなかった例が数多く報告されています。
しかし、そういった失敗例を踏まえ、自治体も学習をしてきているようです。
徐々に募集内容が最適化されてきており、自治体と応募者とのミスマッチを減らす仕組みに近づいていっているように思います。
ただし、これはあくまでも募集する自治体と地域おこし協力隊に応募する希望者とのミスマッチが減るという話で、地域住民と地域おこし協力隊との関係の話はまた別物です。
とはいえ、総務省は2024年には地域おこし協力隊の隊員数を8,000人にする目標を立てていますので(2017年度は4,830人)、今よりももっとミスマッチを減らしていくようにする必要があります。
地域おこし協力隊の募集内容に変化が出てきている
地域おこし協力隊は「 ニッポン移住・交流ナビ JOIN」の「募集情報を探す」から見ることができます。
活動したいカテゴリーや地域、また報酬などで条件検索をすることができます。
長いスパンで見続けていると、「あ、この自治体また募集してる」とか、「同じ自治体が募集内容変えてきてる」とか、「初めて募集します」とか変化があったりして結構おもしろいんです。
そのように応募内容を見て楽しんでいるのですが、最近の応募にはある特徴が見られるようになってきました。
それは、
活動に支障ない範囲での副業可
というもの。
これまではごく一部の募集にしか「副業可」の文言は入っていませんでしたが、最近の募集内容の多くでは「副業可」もしくは「兼業可」となってきています。
要因と考えられるのは、やはり報酬の低さにあるのではないかと思います。
地域おこし協力隊は自治体の非常勤職員扱いとなるのがほとんどなので副業は不可な募集がほとんどでした。
地域おこし協力隊の1年の報酬額は200万円と定められています。
たまに年収400万円もらえるといった内容の記事を見かけますがそれは間違いです。
正確には年収200万円、その他経費として最大で200万円まで利用が可能です。
こう聞くと、経費とあわせて400万円もらえるというように思う人もいるかも知れませんが、経費は必ず200万円出るとは限りません。
地域おこし協力隊隊員が必要経費と思っても自治体がNOといえば経費として落とすことはできません。
そのため、年収200万円の中から自腹で必要なものを揃えることもしばしばあるようです。
年収200万円と言うと、月収16.6万円ほどです。
ここから税金など引かれるので、手取りはいくらになるでしょうか。
制度が始まった当初はやりがいを求めて応募する人が多かったように思いますが、実際に始まってみると金銭的なことで続けられないケースも増えてきました。
そのようなことを考慮した自治体もあり、独自に報酬額を上乗せして支給しているところもあるのですが、それでも途中でやめていく隊員が多くいました。
そのような背景もあり、「副業可」の募集が増えたのではないかと思います。
募集する自治体も学習し、変化してきている
地域おこし協力隊制度が始まってからさまざまなトラブルや課題が浮き彫りになっています。
原因はさまざまあるのでしょうが、募集する自治体側に要因があるのも事実ですが、学習能力のある自治体ではすぐに対策を打ってきます。
その一つが「車は持ってきてね」作戦です。
活動中は公用車を利用することは可能だが、それ以外は自家用車を使ってねというものです。
車がないと生活できない地域へ応募するには車を持っていないと生活に困ってしまいます。
そこで自家用車の普及率を調べてみました。
年齢別で見ると、29歳以下では53.7%、30~59歳以下では82.3%となっています。
29歳以下は2人に1人は車を保有していないんですね。
これを地域ごとに見ていくともっと分析できると思いますが今回は割愛します。
http://www.garbagenews.net/archives/2058778.html
この情報を元に、なぜ自治体は「車を持ってきてね作戦」をとっているのか考えます。
「車を持ってきてね作戦」の本質は、応募者に車を買える財力があるか見極めるところにあるのだと思います。
都心に住んでいると、車は持っていなくても十分に生活ができます。
むじろ車離れが起きているくらいです。
都市交通が非常に整備されています。
それでも車を持っているということは、車が必要な人、もしくはお金に余裕がある生活者ということが言えると思います。
お金に余裕がある生活者とはそれなりの能力があってそれなりの職についているとも言えるのではないでしょうか。
すなわち自治体としては、誰でも来てくださいというスタンスから能力のある人材を確保したいというスタンスへ変化したということが考えられます。
誰でもいいから来て作戦では能力のない者が地域をかき乱して任期を終えて帰っていったという話が多く聞かれます。
それならそもそも募集なんてしなけりゃよかったなんて恨み節さえ聞かれます。
そんな失敗経験から学んでいる自治体が募集内容を変化させてきているのではないでしょうか。
変化できる自治体とそうでないところとの差が大きく開きそうですね。
地域おこし協力隊への応募希望者も情報を吟味している
一方で応募する側も情報の吟味をしています。
いなか暮らしがしてみたいなーという幻想だけでは地域おこし協力隊は務まらないことがわかってきました。
そこで、自分はその地域で何がしたいのか、何ができるのかという自分の棚卸しのようなことをする人が多くなってきました。
これは転職をしようと思ったらするアタリマエのことなのですが、地域おこし協力隊ではアタリマエのことではなかったようです。
また、協力隊の多くがSNSなどで情報を発信しています。
現役の協力隊は活動内容や普段の出来事などのうちいいことを書いている人がほとんどですが、やめた人のSNSを見ると本音が書かれているのでそういうのを参考にすると、応募するべきか否か、もし自分が協力隊になったらこういう時どうするかなど具体的な対策が考えられそうです。
なので、現役の地域おこし協力隊のSNSだけではなく元地域おこし協力隊の人のSNSを見てみると非常に参考になるところがあると思います。
現役の隊員もいいところだけではなく悪い情報もバンバン流してほしいものです。
自治体や地域住民もそれを見て改善するなどすれば何かしら変わっていくような気もします。
誰もが不幸にならない仕組みづくりが必要
自治体や地域の人が地域おこし協力隊に求められることとは何なのか、また地域おこし協力隊になりたい人は、隊員になって何がしたいのかを明確に持っておくことは大事です。
そして、それぞれの条件がうまく折り合うところとマッチングできるような仕組みが必要ではないかと思います。
現状では自治体側から出てくる情報の多くはテンプレ型で、業務内容がはっきりしていなかったり、自治体の望むことと地域住民が望むことに大きな隔たりがあったりして希望者が求めている情報や聞いたことと食い違いが生じることが多いと聞きます。
ミスマッチを生まないようにきちんとした情報を提供することや、地域のニーズのヒアリングをしっかりとおこうなど、誰もが不幸にならない仕組みづくりが必要と感じます。
最後に
ミスマッチを生まない仕組みづくりは必要です。
しかし地域のニーズは多様なので、それを作り出すのはなかなか難しいと思います。
ですが多くの自治体が失敗例を踏まえながら試行錯誤し、現役の隊員も日々一生懸命に地域を活性化しようと活動していることも事実です。
今後の地域おこし協力隊がどのような効果をもたらすのか、期待したいですね。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
モリ(@ijumori)でした。
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