用語の解説(クリックで開く)
- 配当利回り
- 直近1年の配当金合計 ÷ 現在株価 × 100(%)。高いほどインカムが厚い目安。
- 配当性向
- 配当金 ÷ 当期純利益 × 100(%)。50%前後が一般的。80%超は持続性に注意。
- PER
- 株価 ÷ 1株利益。低いほど利益に対し割安とされる(業種差あり)。
- PBR
- 株価 ÷ 1株純資産。1倍割れは資産に対し割安の目安(業種差あり)。
- ROE
- 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)。資本効率の指標。
- DOE
- 配当金 ÷ 自己資本 × 100(%)。自己資本に対する還元の厚さ。
- 自社利回り比(sy)
- 現在利回り ÷ 過去5年平均利回り。1未満は株価上昇で利回りが相対的に低下。
- 連続増配
- 分割調整済み配当が前年比で増えた年数。同額維持は非減配として別途カウント。
1. 企業概要
抗体医薬で世界と戦う創薬企業、中外製薬。スイス・ロシュと組むこの高収益企業の配当を、全体像から見ていきます。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 銘柄コード | 4519 |
| 業種 | 医薬品 |
| 配当利回り(株価ベース) | 2.89% |
| 1株配当(最新期・分割調整済) | 272.00円 |
| 総合判定 | 除外 |
| 総合スコア | 238.1 |
| 連続増配 | 9年 |
| 非減配 | 9年 |
| 配当性向 | 103.14% |
| PER / PBR | 31.26 / 6.70 |
| ROE | 24.35% |
中外製薬は、抗体医薬に強みを持つ国内屈指の高収益製薬会社です。スイスのロシュと資本・業務提携し、ロシュ製品の国内独占販売権を持つ一方、自社創薬をロシュ経由でグローバル展開する——世界最大級の製薬グループと一体で戦うユニークなポジションが、圧倒的な収益性の源泉です。ROE24%・ROA18%という数字は、製薬業の中でも際立っています。
2. 配当の魅力
利回りと増配の記録を、表とグラフで確認します。直近の大幅増配と、その持続性の両面に注目してください。
| 期間 | 最大 | 平均 | 最小 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 4.65% | 2.57% | 1.31% |
| 3年 | 4.65% | 2.75% | 1.31% |
| 1年 | 4.65% | 3.57% | 2.62% |
| 現在 | 2.89% | — | — |
| 会計年度 | 1株配当(分割調整済) | 配当性向 | EPS |
|---|---|---|---|
| 2016年12月期 | 17.33円 | 53.00% | 33円 |
| 2017年12月期 | 20.67円 | 46.60% | 44円 |
| 2018年12月期 | 28.67円 | 50.86% | 56円 |
| 2019年12月期 | 46.67円 | 48.64% | 96円 |
| 2020年12月期 | 50.00円 | 42.09% | 119円 |
| 2021年12月期 | 76.00円 | 41.24% | 184円 |
| 2022年12月期 | 78.00円 | 34.26% | 228円 |
| 2023年12月期 | 80.00円 | 40.44% | 198円 |
| 2024年12月期 | 98.00円 | 41.63% | 235円 |
| 2025年12月期 | 272.00円 | 103.14% | 264円 |
※連続増配・非減配の年数は自動算出値です。重要な投資判断の前には、企業のIR資料での確認を推奨します。
当システム基準で9年連続の増配と、長期にわたる株主還元の積み上げは見事です。ただし正直にお伝えすべき点があります——直近期の配当性向は103.1%と、利益を上回る配当を出している状態です。1株配当は前期98円から272円へ大きく跳ねましたが、これは持続的な地力というより一時的な水準の可能性があり、本システムでも足切り条件に触れています。高収益企業ゆえの余力はあるものの、この配当性向は継続性の観点で注視が必要です。
3. 業績と財務の安定性
その配当を支える、製薬業でも際立つ収益力と財務を見ていきます。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| ROE | 24.35% |
| ROA | 17.58% |
| 自己資本比率 | 73.67% |
| EPS / BPS | 264 / 1231 |
| 収益性スコア | 9.01 |
| 還元スコア | 4.06 |
| 割安スコア | 2.21 |
ROE24.4%、ROA17.6%と収益性は国内製薬でも屈指。自己資本比率73.7%と財務は極めて健全で、実質無借金に近い盤石さです。EPSは264円。研究開発に多額を投じながらこの高収益・高健全性を両立できるのは、ロシュとの提携による安定した収益基盤があればこそ。稼ぐ力そのものに、揺らぎは見られません。
4. 割安度(買い時か)
PERは31.3倍、PBRは6.7倍と、高い成長性と収益性を織り込んだ相応にプレミアムな評価です。自社利回り比は0.63で、現在の利回りは自社の過去水準より低く、割安な妙味は乏しい状況です。市場は同社の創薬パイプラインと安定収益をすでに高く評価しています。
過去5年の配当利回りのレンジから、株価の買い時・売り時の目安を機械的に示したものです(配当が今の水準を保つ前提の簡易ガイドで、業績変化は織り込みません)。
| 区分 | 株価水準(対応利回り) |
|---|---|
| 現在株価 | 7359円(利回り2.89%) |
| 買い目安(5年平均利回り) | 8288円(利回り2.57%) |
| 強い買い目安(5年最高利回り) | 4581円(利回り4.65%) |
| 売り目安(5年最低利回り) | 16260円(利回り1.31%) |
現在株価は買い目安(8288円)を下回っており、利回りは自社の5年平均を上回る割安圏にあります。過去の水準に照らせば、インカム狙いで検討しやすい株価です。
5. 総合判断
総合判定: 除外(スコア 238.1)
配当性向超過・FCFマイナス・データ欠損など、本システムの足切り条件に該当しました。分析対象から外れているため、参考情報としてのみご覧ください。
判定根拠: 配当性向80%超
総合スコア238.1は本レポート対象で群を抜きますが、判定は「除外」です。理由は配当性向103%——利益を超える配当は、本システムが持続性リスクとして足切りする条件だからです。企業としての質は国内最上位級で、長期の成長力も申し分ありません。ただ「今の配当利回りをそのまま前提に買う」という配当投資の観点では、増配の中身と持続性を冷静に見極める必要があります。数字の魅力と足元の配当政策、その両面を理解したうえで向き合いたい一社です。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

