用語の解説(クリックで開く)
- 配当利回り
- 直近1年の配当金合計 ÷ 現在株価 × 100(%)。高いほどインカムが厚い目安。
- 配当性向
- 配当金 ÷ 当期純利益 × 100(%)。50%前後が一般的。80%超は持続性に注意。
- PER
- 株価 ÷ 1株利益。低いほど利益に対し割安とされる(業種差あり)。
- PBR
- 株価 ÷ 1株純資産。1倍割れは資産に対し割安の目安(業種差あり)。
- ROE
- 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)。資本効率の指標。
- DOE
- 配当金 ÷ 自己資本 × 100(%)。自己資本に対する還元の厚さ。
- 自社利回り比(sy)
- 現在利回り ÷ 過去5年平均利回り。1未満は株価上昇で利回りが相対的に低下。
- 連続増配
- 分割調整済み配当が前年比で増えた年数。同額維持は非減配として別途カウント。
1. 企業概要
メガ損保の一角、MS&AD。高利回り・PBR1倍割れ・長期非減配という好条件を持つこの会社を見ていきます。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 銘柄コード | 8725 |
| 業種 | 保険業 |
| 配当利回り(株価ベース) | 3.55% |
| 1株配当(最新期・分割調整済) | 160.00円 |
| 総合判定 | 中立 |
| 総合スコア | 55.1 |
| 連続増配 | 5年 |
| 非減配 | 17年 |
| 配当性向 | 46.65% |
| PER / PBR | 11.76 / 0.91 |
| ROE | 8.65% |
MS&ADインシュアランスグループは、三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保を傘下に持つメガ損保の一角です。国内損保でトップクラスのシェアを誇り、海外保険事業も積極展開しています。損害保険は安定した保険料収入を生むディフェンシブな事業。加えて、保険業界で進む政策保有株の削減と資本効率改善(PBR1倍改革)の恩恵を、最も受けやすい立ち位置にあります。
2. 配当の魅力
この銘柄は三拍子そろった好条件です。利回りと配当履歴を、表とグラフでじっくり確認しましょう。
| 期間 | 最大 | 平均 | 最小 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 7.55% | 5.25% | 3.42% |
| 3年 | 6.48% | 4.80% | 3.42% |
| 1年 | 5.41% | 4.35% | 3.42% |
| 現在 | 3.55% | — | — |
| 会計年度 | 1株配当(分割調整済) | 配当性向 | EPS |
|---|---|---|---|
| 2017年3月期 | 40.00円 | 34.19% | 117円 |
| 2018年3月期 | 43.33円 | 49.99% | 87円 |
| 2019年3月期 | 46.67円 | 42.59% | 110円 |
| 2020年3月期 | 50.00円 | 60.40% | 83円 |
| 2021年3月期 | 50.00円 | 60.60% | 83円 |
| 2022年3月期 | 60.00円 | 37.93% | 158円 |
| 2023年3月期 | 66.67円 | 66.71% | 100円 |
| 2024年3月期 | 90.00円 | 116.46% | 77円 |
| 2025年3月期 | 145.00円 | 74.99% | 193円 |
| 2026年3月期 | 160.00円 | 46.65% | 343円 |
※連続増配・非減配の年数は自動算出値です。重要な投資判断の前には、企業のIR資料での確認を推奨します。
非減配17年、連続増配5年——コロナ期に一時横ばいはあったものの、長期にわたり減配なく株主還元を続けてきた確かな実績があります。1株配当は着実に積み上がり、直近も145円→160円へと増配を継続。配当性向は46.6%と持続性の高い水準です。そして現在利回りは3.55%——本レポートでも高い部類です。「高利回り3.55%」と「17年非減配」の両立は決して当たり前ではなく、政策保有株の売却益なども還元原資として、積極的な増配姿勢が続いています。
3. 業績と財務の安定性
その還元を支える収益力と、保険業ならではの財務を見ていきます。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| ROE | 8.65% |
| ROA | 1.73% |
| 自己資本比率 | 21.69% |
| EPS / BPS | 343 / 4425 |
| 収益性スコア | 1.04 |
| 還元スコア | 1.19 |
| 割安スコア | 0.90 |
ROEは8.7%、ROA1.73%、自己資本比率21.7%——保険業はバランスシートに保険負債を抱えるため、この自己資本比率は業態上ごく標準的です。EPSは343円。安定した保険引受と資産運用に加え、政策保有株の削減が資本効率の改善余地を生んでいます。業界全体の資本効率改革という追い風を、最も受けやすいポジションにあります。
4. 割安度(買い時か)
PERは11.8倍、PBRは0.91倍と、利益・資産の両面で割安圏。とりわけPBRは1倍を割れており、資産価値に対して株価が低く評価されています。自社利回り比は0.38と低めですが、PBR1倍割れ・利回り3.55%という水準は、バリューと高配当を狙う投資家にとって見逃せない組み合わせです。
過去5年の配当利回りのレンジから、株価の買い時・売り時の目安を機械的に示したものです(配当が今の水準を保つ前提の簡易ガイドで、業績変化は織り込みません)。
| 区分 | 株価水準(対応利回り) |
|---|---|
| 現在株価 | 4505円(利回り3.55%) |
| 買い目安(5年平均利回り) | 3048円(利回り5.25%) |
| 強い買い目安(5年最高利回り) | 2119円(利回り7.55%) |
| 売り目安(5年最低利回り) | 4678円(利回り3.42%) |
現在株価は買い目安(3048円)と売り目安(4678円)の間にある中立圏です。買い目安まではあと約32.4%の下落余地。利回りの妙味を重視するなら、買い目安への接近を待つ判断も理にかないます。
5. 総合判断
総合判定: 中立(スコア 55.1)
明確な買いシグナルも売りシグナルも弱く、現状維持・様子見が妥当な水準です。利回りだけでなく財務・増配記録を総合して判断してください。
判定根拠: 自社平均より低利回り
総合スコアは55.1ですが、非減配17年・利回り3.55%・PBR0.91倍という好条件は、本レポートでも屈指の好条件です。判定は「中立」ですが、還元の継続力・高い絶対利回り・割安さがそろい、しかも保険業界の資本効率改善(PBR1倍改革)という強い追い風もある。堅実な高配当・増配株を求める投資家にとって、じっくり向き合う価値の高い一社といえます。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

