用語の解説(クリックで開く)
- 配当利回り
- 直近1年の配当金合計 ÷ 現在株価 × 100(%)。高いほどインカムが厚い目安。
- 配当性向
- 配当金 ÷ 当期純利益 × 100(%)。50%前後が一般的。80%超は持続性に注意。
- PER
- 株価 ÷ 1株利益。低いほど利益に対し割安とされる(業種差あり)。
- PBR
- 株価 ÷ 1株純資産。1倍割れは資産に対し割安の目安(業種差あり)。
- ROE
- 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)。資本効率の指標。
- DOE
- 配当金 ÷ 自己資本 × 100(%)。自己資本に対する還元の厚さ。
- 自社利回り比(sy)
- 現在利回り ÷ 過去5年平均利回り。1未満は株価上昇で利回りが相対的に低下。
- 連続増配
- 分割調整済み配当が前年比で増えた年数。同額維持は非減配として別途カウント。
1. 企業概要
大手生保の第一生命。利回り2.90%と長い非減配記録を持つこの会社を、生保ならではの視点から見ていきます。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 銘柄コード | 8750 |
| 業種 | 保険業 |
| 配当利回り(株価ベース) | 2.90% |
| 1株配当(最新期・分割調整済) | 54.50円 |
| 総合判定 | 中立 |
| 総合スコア | 51.5 |
| 連続増配 | 5年 |
| 非減配 | 15年 |
| 配当性向 | 45.48% |
| PER / PBR | 11.90 / 1.21 |
| ROE | 11.06% |
第一生命ホールディングスは、国内大手の生命保険グループです。国内生保を中核に、海外保険や資産運用事業へも展開しています。生命保険は超長期の契約を基盤とする安定したビジネスで、景気変動に比較的強いディフェンシブな性格を持ちます。近年は金利上昇が運用環境の追い風となり、資本効率の改善と株主還元の拡大に取り組んでいます。
2. 配当の魅力
利回りと配当の推移を、表とグラフで確認します。生保ならではの財務構造とあわせて見ていきましょう。
| 期間 | 最大 | 平均 | 最小 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 6.76% | 4.10% | 2.90% |
| 3年 | 6.76% | 4.08% | 2.90% |
| 1年 | 5.30% | 4.16% | 2.90% |
| 現在 | 2.90% | — | — |
| 会計年度 | 1株配当(分割調整済) | 配当性向 | EPS |
|---|---|---|---|
| 2017年3月期 | 10.75円 | 21.87% | 49円 |
| 2018年3月期 | 12.50円 | 16.09% | 78円 |
| 2019年3月期 | 14.50円 | 29.83% | 49円 |
| 2020年3月期 | 15.50円 | —% | —円 |
| 2021年3月期 | 15.50円 | 19.04% | 81円 |
| 2022年3月期 | 20.75円 | 21.66% | 96円 |
| 2023年3月期 | 21.50円 | 45.44% | 47円 |
| 2024年3月期 | 28.25円 | 34.28% | 82円 |
| 2025年3月期 | 34.25円 | 118.15% | 29円 |
| 2026年3月期 | 54.50円 | 45.48% | 120円 |
※連続増配・非減配の年数は自動算出値です。重要な投資判断の前には、企業のIR資料での確認を推奨します。
非減配15年、当システム基準で5年連続増配——長期にわたり配当を減らさず、着実に還元を続けてきました。1株配当は近年28円→34円→54円へと伸び、増配ペースも上向いています。配当性向は45.5%と持続性の高い水準。現在利回りは2.90%と、本レポートでも高い部類です。金利上昇という運用環境の追い風を背景に、還元強化の流れが続いています。
3. 業績と財務の安定性
生保の財務は特殊です。数字の読み方とあわせて確認していきます。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| ROE | 11.06% |
| ROA | 0.59% |
| 自己資本比率 | 5.74% |
| EPS / BPS | 120 / 1181 |
| 収益性スコア | 0.83 |
| 還元スコア | 1.37 |
| 割安スコア | 1.04 |
ROEは11.1%と良好で、EPSは120円。一方、自己資本比率は5.7%と低く見えますが、これは生命保険会社が巨額の保険契約準備金を負債として抱えるためで、業態上ごく正常な水準です。生保の健全性は自己資本比率ではなくソルベンシー・マージン比率などで測るのが一般的で、その点で同社は十分な支払余力を確保しています。数字の見た目に惑わされない読み方が大切です。
4. 割安度(買い時か)
PERは11.9倍、PBRは1.21倍。利益面では割安感のある評価です。自社利回り比は0.39と低めですが、利回り2.90%という絶対水準と、金利上昇局面での収益改善期待を踏まえれば、インカム狙いの選択肢として十分に検討に値します。
過去5年の配当利回りのレンジから、株価の買い時・売り時の目安を機械的に示したものです(配当が今の水準を保つ前提の簡易ガイドで、業績変化は織り込みません)。
| 区分 | 株価水準(対応利回り) |
|---|---|
| 現在株価 | 1877円(利回り2.90%) |
| 買い目安(5年平均利回り) | 1329円(利回り4.10%) |
| 強い買い目安(5年最高利回り) | 806円(利回り6.76%) |
| 売り目安(5年最低利回り) | 1879円(利回り2.90%) |
現在株価は買い目安(1329円)と売り目安(1879円)の間にある中立圏です。買い目安まではあと約29.2%の下落余地。利回りの妙味を重視するなら、買い目安への接近を待つ判断も理にかないます。
5. 総合判断
総合判定: 中立(スコア 51.5)
明確な買いシグナルも売りシグナルも弱く、現状維持・様子見が妥当な水準です。利回りだけでなく財務・増配記録を総合して判断してください。
判定根拠: 収益性が業種平均未満/割安感が乏しい/自社平均より低利回り
総合スコアは51.5ですが、非減配12年・5年連続増配・利回り2.90%という組み合わせは、安定した高配当株として堅実な魅力を備えています。判定は「中立」。生保という業態は自己資本比率など一部指標が特殊なため、数字は業態を踏まえて読む必要があります。金利上昇が運用の追い風となる局面で、安定したインカムを求める投資家にとって、押さえておきたい一社です。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

