用語の解説(クリックで開く)
- 配当利回り
- 直近1年の配当金合計 ÷ 現在株価 × 100(%)。高いほどインカムが厚い目安。
- 配当性向
- 配当金 ÷ 当期純利益 × 100(%)。50%前後が一般的。80%超は持続性に注意。
- PER
- 株価 ÷ 1株利益。低いほど利益に対し割安とされる(業種差あり)。
- PBR
- 株価 ÷ 1株純資産。1倍割れは資産に対し割安の目安(業種差あり)。
- ROE
- 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)。資本効率の指標。
- DOE
- 配当金 ÷ 自己資本 × 100(%)。自己資本に対する還元の厚さ。
- 自社利回り比(sy)
- 現在利回り ÷ 過去5年平均利回り。1未満は株価上昇で利回りが相対的に低下。
- 連続増配
- 分割調整済み配当が前年比で増えた年数。同額維持は非減配として別途カウント。
1. 企業概要
抗がん剤「エンハーツ」で世界を驚かせた第一三共。グローバル成長企業となったこの会社を、配当の観点から見ていきます。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 銘柄コード | 4568 |
| 業種 | 医薬品 |
| 配当利回り(株価ベース) | 2.85% |
| 1株配当(最新期・分割調整済) | 78.00円 |
| 総合判定 | 除外 |
| 総合スコア | 108.6 |
| 連続増配 | 4年 |
| 非減配 | 16年 |
| 配当性向 | 55.54% |
| PER / PBR | 19.70 / 3.03 |
| ROE | 15.81% |
第一三共は、国内大手の製薬会社です。近年、独自の抗体薬物複合体(ADC)技術から生まれた抗がん剤「エンハーツ」が世界的な大ヒットとなり、日本の製薬会社の枠を超えたグローバルな成長企業へと変貌しました。がん領域を中心に有望なパイプラインを多数抱え、「創薬の第一三共」として世界の注目を集める存在。成長投資と株主還元のバランスが問われるフェーズにあります。
2. 配当の魅力
利回りと配当の推移を、表とグラフで確認します。長い非減配記録と、直近の増配に注目してください。
| 期間 | 最大 | 平均 | 最小 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 3.26% | 1.46% | 0.65% |
| 3年 | 3.26% | 1.78% | 1.02% |
| 1年 | 3.26% | 2.51% | 1.89% |
| 現在 | 2.85% | — | — |
| 会計年度 | 1株配当(分割調整済) | 配当性向 | EPS |
|---|---|---|---|
| 2017年3月期 | 23.33円 | 87.91% | 27円 |
| 2018年3月期 | 23.33円 | 76.66% | 30円 |
| 2019年3月期 | 23.33円 | 48.54% | 48円 |
| 2020年3月期 | 23.33円 | 35.14% | 66円 |
| 2021年3月期 | 27.00円 | 68.93% | 39円 |
| 2022年3月期 | 27.00円 | 77.28% | 35円 |
| 2023年3月期 | 30.00円 | 52.67% | 57円 |
| 2024年3月期 | 50.00円 | 47.76% | 105円 |
| 2025年3月期 | 60.00円 | 38.47% | 156円 |
| 2026年3月期 | 78.00円 | 55.54% | 140円 |
※連続増配・非減配の年数は自動算出値です。重要な投資判断の前には、企業のIR資料での確認を推奨します。
非減配16年——長期にわたり配当を減らさず守り抜いてきた実績があります。当システム基準の連続増配は4年ですが、1株配当は近年50円→60円→78円へと着実に伸びています。配当性向は55.5%とやや高めで、これは大型の研究開発投資を続けながらも株主還元を厚くしている表れ。成長投資と配当の両立に積極的な姿勢がうかがえます。現在利回りは2.85%と、本レポートでも高い部類です。
3. 業績と財務の安定性
その成長と配当を支える収益力を、数字で確かめます。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| ROE | 15.81% |
| ROA | 6.49% |
| 自己資本比率 | 41.55% |
| EPS / BPS | 140 / 915 |
| 収益性スコア | 3.31 |
| 還元スコア | 1.93 |
| 割安スコア | 1.10 |
ROEは15.8%と製薬業として良好な水準で、ROA6.49%、自己資本比率41.5%。EPSは140円です。エンハーツをはじめとするがん領域の成長が収益を牽引しています。ただし製薬業は研究開発に巨額を投じる事業構造で、キャッシュフローは成長投資に手厚く配分される局面。将来の成長のための「今の投資」が、財務の数字に色濃く表れています。
4. 割安度(買い時か)
PERは19.7倍、PBRは3.03倍と、高い成長性を織り込んだプレミアム評価です。自社利回り比は1.28と本群では高めで、株価調整により現在の利回りが自社の過去水準を上回っていることを示します。利回り面ではやや妙味が出ている一方、成長株ゆえのバリュエーションの高さは意識しておきたいところです。
過去5年の配当利回りのレンジから、株価の買い時・売り時の目安を機械的に示したものです(配当が今の水準を保つ前提の簡易ガイドで、業績変化は織り込みません)。
| 区分 | 株価水準(対応利回り) |
|---|---|
| 現在株価 | 2733円(利回り2.85%) |
| 買い目安(5年平均利回り) | 5342円(利回り1.46%) |
| 強い買い目安(5年最高利回り) | 2393円(利回り3.26%) |
| 売り目安(5年最低利回り) | 12000円(利回り0.65%) |
現在株価は買い目安(5342円)を下回っており、利回りは自社の5年平均を上回る割安圏にあります。過去の水準に照らせば、インカム狙いで検討しやすい株価です。
5. 総合判断
総合判定: 除外(スコア 108.6)
配当性向超過・FCFマイナス・データ欠損など、本システムの足切り条件に該当しました。分析対象から外れているため、参考情報としてのみご覧ください。
判定根拠: FCFマイナス
総合スコアは108.6と高く、非減配14年・利回り2.85%と配当面の魅力もありますが、判定は「除外」です。これは本システムの足切り条件に該当したためで、成長投資を優先する製薬業ならではの数値特性が背景にあります。企業としての成長力はエンハーツを筆頭に世界的な水準で、将来性は随一。ただ配当投資の観点では、成長投資フェーズゆえの数値面を理解したうえで、長期の企業価値成長に期待する姿勢が似合う一社です。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

