用語の解説(クリックで開く)
- 配当利回り
- 直近1年の配当金合計 ÷ 現在株価 × 100(%)。高いほどインカムが厚い目安。
- 配当性向
- 配当金 ÷ 当期純利益 × 100(%)。50%前後が一般的。80%超は持続性に注意。
- PER
- 株価 ÷ 1株利益。低いほど利益に対し割安とされる(業種差あり)。
- PBR
- 株価 ÷ 1株純資産。1倍割れは資産に対し割安の目安(業種差あり)。
- ROE
- 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)。資本効率の指標。
- DOE
- 配当金 ÷ 自己資本 × 100(%)。自己資本に対する還元の厚さ。
- 自社利回り比(sy)
- 現在利回り ÷ 過去5年平均利回り。1未満は株価上昇で利回りが相対的に低下。
- 連続増配
- 分割調整済み配当が前年比で増えた年数。同額維持は非減配として別途カウント。
1. 企業概要
ハードからITサービスへ、大きく舵を切る富士通。増配余地の大きいこの会社を、全体像から見ていきます。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 銘柄コード | 6702 |
| 業種 | 電気機器 |
| 配当利回り(株価ベース) | 1.47% |
| 1株配当(最新期・分割調整済) | 50.00円 |
| 総合判定 | 買い候補 |
| 総合スコア | 85.9 |
| 連続増配 | 7年 |
| 非減配 | 7年 |
| 配当性向 | 19.62% |
| PER / PBR | 12.45 / 2.72 |
| ROE | 23.87% |
富士通は、国内ITサービス最大手の一角です。かつてのハードウェア中心の事業構造から、DX(デジタルトランスフォーメーション)支援やクラウドを軸とするITサービス企業へと、大胆な変革を進めています。「Uvance」というブランドの下で高付加価値サービスへのシフトを加速——ROEの改善が示す通り、この構造転換は着実に成果を上げ始めています。
2. 配当の魅力
利回りと配当の推移を、表とグラフで確認します。低い配当性向が示す「増配余地」に注目してください。
| 期間 | 最大 | 平均 | 最小 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 1.94% | 1.31% | 0.88% |
| 3年 | 1.94% | 1.29% | 0.88% |
| 1年 | 1.63% | 1.38% | 1.09% |
| 現在 | 1.47% | — | — |
| 会計年度 | 1株配当(分割調整済) | 配当性向 | EPS |
|---|---|---|---|
| 2017年3月期 | 9.00円 | 21.01% | 43円 |
| 2018年3月期 | 11.00円 | 13.33% | 83円 |
| 2019年3月期 | 8.70円 | 16.98% | 51円 |
| 2020年3月期 | 18.00円 | 22.75% | 79円 |
| 2021年3月期 | 20.00円 | 19.73% | 101円 |
| 2022年3月期 | 22.00円 | 23.80% | 92円 |
| 2023年3月期 | 24.00円 | 21.67% | 111円 |
| 2024年3月期 | 26.00円 | 191.75% | 14円 |
| 2025年3月期 | 28.00円 | 23.15% | 121円 |
| 2026年3月期 | 50.00円 | 19.62% | 255円 |
※連続増配・非減配の年数は自動算出値です。重要な投資判断の前には、企業のIR資料での確認を推奨します。
7年連続増配と、株主還元は着実に拡大しています。1株配当は近年、緩やかな増配を経て直近28円→50円へと大きく跳ねました。特筆すべきは配当性向の低さ——わずか19.6%です。稼いだ利益に対して配当がまだ小さいということは、裏を返せば増配余地がたっぷり残っているということ。利回り1.47%は現時点では低めですが、還元強化の「伸びしろ」という点では魅力があります。
3. 業績と財務の安定性
構造転換の成果を、収益性の数字で確かめていきます。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| ROE | 23.87% |
| ROA | 13.22% |
| 自己資本比率 | 59.56% |
| EPS / BPS | 255 / 1167 |
| 収益性スコア | 2.55 |
| 還元スコア | 1.11 |
| 割安スコア | 0.79 |
ROE23.9%、ROA13.2%と、収益性は大きく改善しています。自己資本比率は59.6%と財務も健全で、EPSは255円。ITサービスへのシフトと事業ポートフォリオの見直しが、資本効率の向上に結びついています。ハードウェア中心だった頃とは様変わりの数字——変革が数字に表れ始めている、その手応えが感じられます。
4. 割安度(買い時か)
PERは12.5倍、PBRは2.72倍。改善した収益性を踏まえれば、PERにはむしろ割安感もうかがえます。自社利回り比は0.65で、現在の利回りは自社の過去水準よりやや低めですが、配当性向の低さを考えれば今後の増配で利回りが底上げされる余地は十分にあります。
過去5年の配当利回りのレンジから、株価の買い時・売り時の目安を機械的に示したものです(配当が今の水準を保つ前提の簡易ガイドで、業績変化は織り込みません)。
| 区分 | 株価水準(対応利回り) |
|---|---|
| 現在株価 | 3392円(利回り1.47%) |
| 買い目安(5年平均利回り) | 3817円(利回り1.31%) |
| 強い買い目安(5年最高利回り) | 2577円(利回り1.94%) |
| 売り目安(5年最低利回り) | 5682円(利回り0.88%) |
現在株価は買い目安(3817円)を下回っており、利回りは自社の5年平均を上回る割安圏にあります。過去の水準に照らせば、インカム狙いで検討しやすい株価です。
5. 総合判断
総合判定: 買い候補(スコア 85.9)
収益性・還元・割安のバランスが良好で、配当投資の観点から注目に値する水準です。ただし個別銘柄のリスクは必ず確認してください。
判定根拠: 収益性◎×業種内割安×自社平均超の高利回り
総合スコアは85.9、ROE改善・7年連続増配・配当性向20%という組み合わせは、なかなか魅力的です。判定「中立」は現在の利回り1.47%の低さを反映したものですが、この銘柄の本当の見どころは「これから」。低い配当性向という増配余地と、ITサービスへの構造転換という成長ドライバーを併せ持ちます。今の利回りではなく、増配ポテンシャルと変革の進展に期待する投資家にとって、目を離せない一社です。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

