用語の解説(クリックで開く)
- 配当利回り
- 直近1年の配当金合計 ÷ 現在株価 × 100(%)。高いほどインカムが厚い目安。
- 配当性向
- 配当金 ÷ 当期純利益 × 100(%)。50%前後が一般的。80%超は持続性に注意。
- PER
- 株価 ÷ 1株利益。低いほど利益に対し割安とされる(業種差あり)。
- PBR
- 株価 ÷ 1株純資産。1倍割れは資産に対し割安の目安(業種差あり)。
- ROE
- 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)。資本効率の指標。
- DOE
- 配当金 ÷ 自己資本 × 100(%)。自己資本に対する還元の厚さ。
- 自社利回り比(sy)
- 現在利回り ÷ 過去5年平均利回り。1未満は株価上昇で利回りが相対的に低下。
- 連続増配
- 分割調整済み配当が前年比で増えた年数。同額維持は非減配として別途カウント。
1. 企業概要
カメラの名門から、医療・半導体へ。変貌するキヤノンは、高利回り3.72%という魅力も併せ持ちます。全体像から見ていきましょう。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 銘柄コード | 7751 |
| 業種 | 電気機器 |
| 配当利回り(株価ベース) | 3.72% |
| 1株配当(最新期・分割調整済) | 155.00円 |
| 総合判定 | 中立 |
| 総合スコア | 66.6 |
| 連続増配 | 4年 |
| 非減配 | 4年 |
| 配当性向 | 43.54% |
| PER / PBR | 12.60 / 1.16 |
| ROE | 9.66% |
キヤノンは、カメラ・事務機(複合機)で世界的な地位を築いた精密機器の名門です。近年は成熟したこれらの事業に加え、メディカル(医療機器)や半導体・FPD露光装置、ネットワークカメラといった成長分野へと事業構造の転換を進めています。伝統の技術力を土台に、新たな柱を育てる——老舗が見せる、静かで着実な変革の途上にあります。
2. 配当の魅力
利回りと配当の歩みを、表とグラフで確認します。コロナ禍での減配と、その後の復配・増配のドラマに注目してください。
| 期間 | 最大 | 平均 | 最小 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 5.44% | 4.02% | 3.15% |
| 3年 | 4.52% | 3.70% | 3.15% |
| 1年 | 4.06% | 3.60% | 3.20% |
| 現在 | 3.72% | — | — |
| 会計年度 | 1株配当(分割調整済) | 配当性向 | EPS |
|---|---|---|---|
| 2016年3月期 | 150.00円 | 108.96% | 138円 |
| 2017年3月期 | 150.00円 | 71.79% | 209円 |
| 2018年3月期 | 160.00円 | 68.43% | 234円 |
| 2019年3月期 | 160.00円 | 137.00% | 117円 |
| 2020年3月期 | 160.00円 | 100.79% | 159円 |
| 2021年3月期 | 80.00円 | 48.70% | 164円 |
| 2022年3月期 | 100.00円 | 50.69% | 197円 |
| 2023年3月期 | 120.00円 | 52.99% | 226円 |
| 2024年3月期 | 140.00円 | 93.64% | 150円 |
| 2025年3月期 | 155.00円 | 43.54% | 356円 |
※連続増配・非減配の年数は自動算出値です。重要な投資判断の前には、企業のIR資料での確認を推奨します。
現在の利回りは3.72%と、本レポートでも高い部類に入ります。配当の歩みには物語があります——2020年、コロナ禍で1株配当を160円から80円へと減配。しかしそこから100円、120円、140円、155円と、4年かけて着実に元の水準近くまで復配・増配を果たしました。配当性向は43.5%と健全で、一度は下げても必ず戻す——その回復力こそ、キヤノンの株主還元姿勢の真価です。
3. 業績と財務の安定性
その配当を支える収益力と、堅実な財務を見ていきます。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| ROE | 9.66% |
| ROA | 5.41% |
| 自己資本比率 | 56.92% |
| EPS / BPS | 367 / 3975 |
| 収益性スコア | 1.26 |
| 還元スコア | 1.24 |
| 割安スコア | 0.48 |
ROE9.7%、ROA5.41%と、安定した収益性を維持しています。自己資本比率は56.9%と財務は健全で、EPSは367円。成熟事業が生む安定キャッシュフローを、医療・半導体といった成長分野へ振り向ける——この事業ポートフォリオの転換が着実に進めば、収益性のさらなる底上げも期待できます。
4. 割安度(買い時か)
PERは12.6倍、PBRは1.16倍と、資産面でも利益面でも割安感のある評価です。自社利回り比は0.76で、現在の利回りは自社の過去水準にやや近く、極端な割高ではありません。低PBR・高利回りという、バリュー株らしい数字がそろっています。
過去5年の配当利回りのレンジから、株価の買い時・売り時の目安を機械的に示したものです(配当が今の水準を保つ前提の簡易ガイドで、業績変化は織り込みません)。
| 区分 | 株価水準(対応利回り) |
|---|---|
| 現在株価 | 4304円(利回り3.72%) |
| 買い目安(5年平均利回り) | 3980円(利回り4.02%) |
| 強い買い目安(5年最高利回り) | 2941円(利回り5.44%) |
| 売り目安(5年最低利回り) | 5079円(利回り3.15%) |
現在株価は買い目安(3980円)と売り目安(5079円)の間にある中立圏です。買い目安まではあと約7.5%の下落余地。利回りの妙味を重視するなら、買い目安への接近を待つ判断も理にかないます。
5. 総合判断
総合判定: 中立(スコア 66.6)
明確な買いシグナルも売りシグナルも弱く、現状維持・様子見が妥当な水準です。利回りだけでなく財務・増配記録を総合して判断してください。
判定根拠: 自社平均より低利回り
総合スコアは66.6ですが、利回り3.72%・低PBR1.16倍・4年連続増配と、バリューと高配当を両立した堅実な配当株です。判定は「中立」ですが、コロナ減配からきっちり復配を果たした回復力と、医療・半導体への構造転換という将来の芽を思えば、インカムを重視する投資家にとって検討に値する一社。派手さはなくとも、「下げても戻す」信頼感が光る銘柄です。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

