用語の解説(クリックで開く)
- 配当利回り
- 直近1年の配当金合計 ÷ 現在株価 × 100(%)。高いほどインカムが厚い目安。
- 配当性向
- 配当金 ÷ 当期純利益 × 100(%)。50%前後が一般的。80%超は持続性に注意。
- PER
- 株価 ÷ 1株利益。低いほど利益に対し割安とされる(業種差あり)。
- PBR
- 株価 ÷ 1株純資産。1倍割れは資産に対し割安の目安(業種差あり)。
- ROE
- 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)。資本効率の指標。
- DOE
- 配当金 ÷ 自己資本 × 100(%)。自己資本に対する還元の厚さ。
- 自社利回り比(sy)
- 現在利回り ÷ 過去5年平均利回り。1未満は株価上昇で利回りが相対的に低下。
- 連続増配
- 分割調整済み配当が前年比で増えた年数。同額維持は非減配として別途カウント。
1. 企業概要
高利回りの代名詞、JT。たばこという特殊な事業で潤沢なキャッシュを生むこの会社の配当を、全体像から見ていきます。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 銘柄コード | 2914 |
| 業種 | 食料品 |
| 配当利回り(株価ベース) | 4.06% |
| 1株配当(最新期・分割調整済) | 234.00円 |
| 総合判定 | 除外 |
| 総合スコア | 271.7 |
| 連続増配 | 1年 |
| 非減配 | 4年 |
| 配当性向 | 81.43% |
| PER / PBR | 19.63 / 2.45 |
| ROE | 39.96% |
日本たばこ産業(JT)は、国内たばこ市場で圧倒的シェアを持ち、海外たばこ事業でも世界大手の一角を占めます。医薬・加工食品も手がけますが、収益の柱はあくまでたばこ。国内は本数減少という構造的な逆風にありますが、値上げ力と海外事業の成長がそれを補い、莫大なキャッシュフローを生み続ける——この現金創出力こそ、高配当を支える土台です。
2. 配当の魅力
利回りと配当の推移を、表とグラフで確認します。本レポート随一の高利回りと、その持続性の両面に注目してください。
| 期間 | 最大 | 平均 | 最小 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 11.98% | 6.80% | 3.70% |
| 3年 | 7.40% | 5.31% | 3.70% |
| 1年 | 5.88% | 4.44% | 3.70% |
| 現在 | 4.06% | — | — |
| 会計年度 | 1株配当(分割調整済) | 配当性向 | EPS |
|---|---|---|---|
| 2016年12月期 | 130.00円 | 55.21% | 235円 |
| 2017年12月期 | 140.00円 | 63.90% | 219円 |
| 2018年12月期 | 150.00円 | 69.67% | 215円 |
| 2019年12月期 | 154.00円 | 78.58% | 196円 |
| 2020年12月期 | 154.00円 | 88.06% | 175円 |
| 2021年12月期 | 140.00円 | 73.39% | 191円 |
| 2022年12月期 | 188.00円 | 75.37% | 249円 |
| 2023年12月期 | 194.00円 | 71.40% | 272円 |
| 2024年12月期 | 194.00円 | 192.17% | 101円 |
| 2025年12月期 | 234.00円 | 81.43% | 287円 |
※連続増配・非減配の年数は自動算出値です。重要な投資判断の前には、企業のIR資料での確認を推奨します。
現在の利回りは4.06%と、本レポートで取り上げた銘柄の中で最も高い水準です。1株配当も154円→234円へと近年しっかり増えてきました。ただし配当性向は81.4%——利益の大半を配当に回しており、増配の余地は限られ、業績が振れれば配当も揺らぎやすい水準です。かつて減配に踏み切った過去もあり、本システムでも足切り対象。高利回りの魅力と減配リスクが、まさに背中合わせにある銘柄です。
3. 業績と財務の安定性
その高配当を生むキャッシュ創出力と、財務の特徴を見ていきます。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| ROE | 39.96% |
| ROA | 6.06% |
| 自己資本比率 | 15.90% |
| EPS / BPS | 287 / 2302 |
| 収益性スコア | 4.42 |
| 還元スコア | 6.79 |
| 割安スコア | — |
ROEは40.0%と極めて高い数字ですが、これは自己資本比率が15.9%と低い(=負債活用度が高い)ことの裏返しでもあり、額面通りの資本効率とは読めません。ROAは6.06%。EPSは287円です。たばこ事業は設備が軽く、値上げが利益に直結しやすいため、安定した営業キャッシュフローを生みます。財務レバレッジは高めですが、その現金創出力が高い還元を可能にしています。
4. 割安度(買い時か)
PERは19.6倍、PBRは2.45倍。自社利回り比は0.45と、株価上昇により現在の利回りは自社の過去水準よりむしろ低い位置にあります。4%超という絶対利回りは魅力的ですが、それは高い配当性向と構造的な逆風というリスクの対価でもある——数字の見た目だけでなく、その中身を理解しておきたい銘柄です。
過去5年の配当利回りのレンジから、株価の買い時・売り時の目安を機械的に示したものです(配当が今の水準を保つ前提の簡易ガイドで、業績変化は織り込みません)。
| 区分 | 株価水準(対応利回り) |
|---|---|
| 現在株価 | 6186円(利回り4.06%) |
| 買い目安(5年平均利回り) | 3691円(利回り6.80%) |
| 強い買い目安(5年最高利回り) | 2095円(利回り11.98%) |
| 売り目安(5年最低利回り) | 6784円(利回り3.70%) |
現在株価は買い目安(3691円)と売り目安(6784円)の間にある中立圏です。買い目安まではあと約40.3%の下落余地。利回りの妙味を重視するなら、買い目安への接近を待つ判断も理にかないます。
5. 総合判断
総合判定: 除外(スコア 271.7)
配当性向超過・FCFマイナス・データ欠損など、本システムの足切り条件に該当しました。分析対象から外れているため、参考情報としてのみご覧ください。
判定根拠: 配当性向80%超
総合スコア271.7と数値上の魅力は際立ち、利回り4.06%は本レポート最高水準。それでも判定は「除外」です。配当性向81%が足切り条件に触れているためで、これは「増配余地の乏しさ」と「減配リスク」を示すシグナルでもあります。高いインカムは確かに魅力ですが、その持続性は国内本数減少と海外事業の綱引き次第。高利回りの裏にあるリスクを直視したうえで、ポートフォリオの一部として付き合うのが賢明な一社です。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

