用語の解説(クリックで開く)
- 配当利回り
- 直近1年の配当金合計 ÷ 現在株価 × 100(%)。高いほどインカムが厚い目安。
- 配当性向
- 配当金 ÷ 当期純利益 × 100(%)。50%前後が一般的。80%超は持続性に注意。
- PER
- 株価 ÷ 1株利益。低いほど利益に対し割安とされる(業種差あり)。
- PBR
- 株価 ÷ 1株純資産。1倍割れは資産に対し割安の目安(業種差あり)。
- ROE
- 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)。資本効率の指標。
- DOE
- 配当金 ÷ 自己資本 × 100(%)。自己資本に対する還元の厚さ。
- 自社利回り比(sy)
- 現在利回り ÷ 過去5年平均利回り。1未満は株価上昇で利回りが相対的に低下。
- 連続増配
- 分割調整済み配当が前年比で増えた年数。同額維持は非減配として別途カウント。
1. 企業概要
求人テック「Indeed」で世界に挑むリクルート。超高収益のこの会社ですが、配当の観点では少し意外な顔を見せます。まずは全体像から。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 銘柄コード | 6098 |
| 業種 | サービス業 |
| 配当利回り(株価ベース) | 0.20% |
| 1株配当(最新期・分割調整済) | 25.00円 |
| 総合判定 | 中立 |
| 総合スコア | 64.4 |
| 連続増配 | 5年 |
| 非減配 | 5年 |
| 配当性向 | 7.15% |
| PER / PBR | 18.70 / 5.77 |
| ROE | 31.05% |
リクルートホールディングスは、世界最大級の求人プラットフォーム「Indeed」を核に、人材マッチングとHRテクノロジーで世界展開する企業です。国内の販促メディア(ホットペッパー、じゃらん等)や人材派遣も収益の柱。ROE31%という驚異的な資本効率が示す通り、少ない資本で莫大な利益を生む、極めて質の高いビジネスモデルを持っています。
2. 配当の魅力
利回りと配当の推移を、表とグラフで確認します。数字を見れば、この銘柄の「配当株としての性格」がはっきり分かります。
| 期間 | 最大 | 平均 | 最小 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 0.66% | 0.38% | 0.20% |
| 3年 | 0.55% | 0.33% | 0.20% |
| 1年 | 0.41% | 0.31% | 0.20% |
| 現在 | 0.20% | — | — |
| 会計年度 | 1株配当(分割調整済) | 配当性向 | EPS |
|---|---|---|---|
| 2017年3月期 | 21.67円 | 79.92% | 27円 |
| 2018年3月期 | 23.00円 | 25.33% | 91円 |
| 2019年3月期 | 28.00円 | 26.84% | 104円 |
| 2020年3月期 | 30.00円 | 27.71% | 108円 |
| 2021年3月期 | 20.00円 | 25.05% | 80円 |
| 2022年3月期 | 21.00円 | 11.56% | 182円 |
| 2023年3月期 | 22.00円 | 13.05% | 169円 |
| 2024年3月期 | 23.00円 | 10.18% | 226円 |
| 2025年3月期 | 24.00円 | 8.84% | 271円 |
| 2026年3月期 | 25.00円 | 7.15% | 350円 |
※連続増配・非減配の年数は自動算出値です。重要な投資判断の前には、企業のIR資料での確認を推奨します。
5年連続増配と記録だけ見れば優等生ですが、正直にお伝えすると——配当性向はわずか7.1%、現在利回りは0.20%です。つまりこの会社は、稼いだ利益のほとんどを配当ではなく成長投資と自社株買いに振り向けています。株主還元は主に自社株買いで行うスタンスで、配当は「おまけ」に近い。増配は続いていても、配当そのもので得られるインカムはごく僅か——ここは誤解なく押さえておきたいポイントです。
3. 業績と財務の安定性
配当は小さくとも、企業としての稼ぐ力は圧巻です。数字で見ていきましょう。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| ROE | 31.05% |
| ROA | 17.82% |
| 自己資本比率 | 56.77% |
| EPS / BPS | 350 / 1134 |
| 収益性スコア | 3.29 |
| 還元スコア | 0.43 |
| 割安スコア | 2.52 |
ROE31.0%、ROA17.8%——本レポート対象でも最上位級の資本効率です。自己資本比率56.8%と財務も健全で、EPSは350円。Indeedを中心とするプラットフォーム事業は、追加コストをほとんどかけずに売上を積み増せる構造で、この高収益を生み出しています。稼ぐ力という一点では、疑いようのない一流企業です。
4. 割安度(買い時か)
PERは18.7倍、PBRは5.77倍。高い収益性と成長性を織り込んだ評価です。自社利回り比は0.49ですが、そもそも利回り水準が0.2%と極小のため、利回りベースでの割安・割高論はあまり意味を持ちません。この銘柄は、配当利回りではなく企業価値の成長で報いるタイプ、と理解するのが正解です。
過去5年の配当利回りのレンジから、株価の買い時・売り時の目安を機械的に示したものです(配当が今の水準を保つ前提の簡易ガイドで、業績変化は織り込みません)。
| 区分 | 株価水準(対応利回り) |
|---|---|
| 現在株価 | 12505円(利回り0.20%) |
| 買い目安(5年平均利回り) | 6579円(利回り0.38%) |
| 強い買い目安(5年最高利回り) | 3788円(利回り0.66%) |
| 売り目安(5年最低利回り) | 12500円(利回り0.20%) |
現在株価は売り目安(12500円)を上回り、利回りは自社の5年最低水準に近い割高圏です。株価が先行して利回りが圧縮されており、新規のインカム目的では押し目を待ちたい水準といえます。
5. 総合判断
総合判定: 中立(スコア 64.4)
明確な買いシグナルも売りシグナルも弱く、現状維持・様子見が妥当な水準です。利回りだけでなく財務・増配記録を総合して判断してください。
判定根拠: 割安感が乏しい/自社平均より低利回り
総合スコアは64.4、企業の質は文句なく一流です。ただし判定「中立」の意味は明確で——これは配当(インカム)目的の投資家向きの銘柄ではありません。利回り0.20%では、高配当・連続増配を狙う投資戦略にはまったく噛み合わない。一方、株主還元を自社株買い中心に据えた成長株として見れば、ROE31%は極めて魅力的です。「配当株」ではなく「成長株」——その物差しで評価すべき一社です。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

