用語の解説(クリックで開く)
- 配当利回り
- 直近1年の配当金合計 ÷ 現在株価 × 100(%)。高いほどインカムが厚い目安。
- 配当性向
- 配当金 ÷ 当期純利益 × 100(%)。50%前後が一般的。80%超は持続性に注意。
- PER
- 株価 ÷ 1株利益。低いほど利益に対し割安とされる(業種差あり)。
- PBR
- 株価 ÷ 1株純資産。1倍割れは資産に対し割安の目安(業種差あり)。
- ROE
- 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)。資本効率の指標。
- DOE
- 配当金 ÷ 自己資本 × 100(%)。自己資本に対する還元の厚さ。
- 自社利回り比(sy)
- 現在利回り ÷ 過去5年平均利回り。1未満は株価上昇で利回りが相対的に低下。
- 連続増配
- 分割調整済み配当が前年比で増えた年数。同額維持は非減配として別途カウント。
1. 企業概要
半導体シリコンウエハーで世界の頂点に立つ信越化学。「地味だが最強」と評されるこの会社の配当を、まずは全体像から見ていきます。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 銘柄コード | 4063 |
| 業種 | 化学 |
| 配当利回り(株価ベース) | 1.51% |
| 1株配当(最新期・分割調整済) | 106.00円 |
| 総合判定 | 中立 |
| 総合スコア | 98.8 |
| 連続増配 | 0年 |
| 非減配 | 26年 |
| 配当性向 | 41.95% |
| PER / PBR | 24.80 / 2.61 |
| ROE | 10.01% |
半導体シリコンウエハーで世界首位、塩化ビニル樹脂(PVC)でも世界大手という、まさに素材の巨人です。半導体・電子材料からインフラ素材まで事業を分散し、業界屈指の高収益体質と、実質無借金に近い鉄壁の財務を誇ります。市況の波を受けやすい化学業でありながら、圧倒的なコスト競争力でその波を乗りこなす——それが信越化学の真骨頂です。
2. 配当の魅力
配当利回りと増配の記録を、表とグラフで確認します。長期の伸びと、直近の変化の両方に注目してください。
| 期間 | 最大 | 平均 | 最小 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 3.80% | 2.33% | 1.36% |
| 3年 | 3.05% | 2.04% | 1.36% |
| 1年 | 2.49% | 1.98% | 1.36% |
| 現在 | 1.51% | — | — |
| 会計年度 | 1株配当(分割調整済) | 配当性向 | EPS |
|---|---|---|---|
| 2017年3月期 | 24.00円 | 29.07% | 83円 |
| 2018年3月期 | 28.00円 | 22.43% | 125円 |
| 2019年3月期 | 40.00円 | 27.55% | 145円 |
| 2020年3月期 | 44.00円 | 29.13% | 151円 |
| 2021年3月期 | 50.00円 | 35.37% | 141円 |
| 2022年3月期 | 80.00円 | 33.23% | 241円 |
| 2023年3月期 | 100.00円 | 143.74% | 70円 |
| 2024年3月期 | 100.00円 | 38.55% | 259円 |
| 2025年3月期 | 106.00円 | 39.33% | 270円 |
| 2026年3月期 | 106.00円 | 41.95% | 253円 |
※連続増配・非減配の年数は自動算出値です。重要な投資判断の前には、企業のIR資料での確認を推奨します。
長い目で見れば、分割調整後の1株配当は2012年の4円から2026年予想の106円へと、桁が変わるほどの成長を遂げてきました。ただし正直にお伝えすると、当システム基準の連続増配は0年——直近期は半導体市況の調整を受けて、増配の歩みが一度立ち止まっています。とはいえ配当性向は41.9%とまだ軽く、業績が上向けば再び増配に転じる余地は十分。利回り1.51%という水準は、裏を返せば「株価が高く評価されている」ことの表れでもあります。
3. 業績と財務の安定性
この会社の真価は財務に表れます。収益性と健全性を数字で見ていきましょう。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| ROE | 10.01% |
| ROA | 8.38% |
| 自己資本比率 | 82.01% |
| EPS / BPS | 253 / 2400 |
| 収益性スコア | 2.41 |
| 還元スコア | 1.39 |
| 割安スコア | — |
ROE10.0%・ROA8.38%と資産効率は高く、自己資本比率82.0%は実質無借金に近い盤石さです。EPSは253円。市況変動の大きい化学業にあって、この財務の分厚さは、減益局面でも配当を守り抜く底力になります。稼ぐ力と守る力を高い次元で両立している——数字がそれを証明しています。
4. 割安度(買い時か)
PERは24.8倍、PBRは2.61倍。高い収益性と成長性を織り込んだ、相応にプレミアムのある評価です。自社利回り比は0.62で、現在の利回りは自社の過去水準に対して低く、割安な妙味は乏しい状況です。市場はすでに信越化学の質の高さを価格に反映しています。バリューを狙う対象というより、「一級品を長く持つ」発想が似合う銘柄です。
過去5年の配当利回りのレンジから、株価の買い時・売り時の目安を機械的に示したものです(配当が今の水準を保つ前提の簡易ガイドで、業績変化は織り込みません)。
| 区分 | 株価水準(対応利回り) |
|---|---|
| 現在株価 | 7010円(利回り1.51%) |
| 買い目安(5年平均利回り) | 4549円(利回り2.33%) |
| 強い買い目安(5年最高利回り) | 2790円(利回り3.80%) |
| 売り目安(5年最低利回り) | 7794円(利回り1.36%) |
現在株価は買い目安(4549円)と売り目安(7794円)の間にある中立圏です。買い目安まではあと約35.1%の下落余地。利回りの妙味を重視するなら、買い目安への接近を待つ判断も理にかないます。
5. 総合判断
総合判定: 中立(スコア 98.8)
明確な買いシグナルも売りシグナルも弱く、現状維持・様子見が妥当な水準です。利回りだけでなく財務・増配記録を総合して判断してください。
判定根拠: 自社平均より低利回り
総合スコアは98.8と、財務・収益力は国内最上位級。それでも判定は「中立」です。利回り1.51%・高めのPERという評価では、「割安な配当株」としての妙味は限られます。加えて直近の増配一服もあり、いま利回り目当てで飛び込む局面とは言いにくい。むしろこの銘柄は、目先の利回りではなく企業の質と長期の成長力に投資する——そんなスタンスでこそ輝く一社だと考えます。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

