用語の解説(クリックで開く)
- 配当利回り
- 直近1年の配当金合計 ÷ 現在株価 × 100(%)。高いほどインカムが厚い目安。
- 配当性向
- 配当金 ÷ 当期純利益 × 100(%)。50%前後が一般的。80%超は持続性に注意。
- PER
- 株価 ÷ 1株利益。低いほど利益に対し割安とされる(業種差あり)。
- PBR
- 株価 ÷ 1株純資産。1倍割れは資産に対し割安の目安(業種差あり)。
- ROE
- 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)。資本効率の指標。
- DOE
- 配当金 ÷ 自己資本 × 100(%)。自己資本に対する還元の厚さ。
- 自社利回り比(sy)
- 現在利回り ÷ 過去5年平均利回り。1未満は株価上昇で利回りが相対的に低下。
- 連続増配
- 分割調整済み配当が前年比で増えた年数。同額維持は非減配として別途カウント。
1. 企業概要
ユニクロで世界に挑むファーストリテイリング。圧倒的な成長企業ですが、配当の観点では少し違った顔を見せます。まずは全体像から。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 銘柄コード | 9983 |
| 業種 | 小売業 |
| 配当利回り(株価ベース) | 0.96% |
| 1株配当(最新期・分割調整済) | 500.00円 |
| 総合判定 | 中立 |
| 総合スコア | 93.7 |
| 連続増配 | 4年 |
| 非減配 | 14年 |
| 配当性向 | 35.42% |
| PER / PBR | 33.00 / 6.29 |
| ROE | 20.19% |
ファーストリテイリングは、「ユニクロ」「ジーユー」を展開する、アジア最大級のアパレル企業です。SPA(製造小売)モデルを武器に、いまや売上の過半を海外が占めるグローバル企業へと成長しました。高い商品力とブランド力で世界中に店舗網を広げ、なお成長を続ける——日本を代表する成長株のひとつです。なお決算期は8月末である点は、他の3月決算企業と比較する際に留意しておきたいポイントです。
2. 配当の魅力
利回りと配当の推移を、表とグラフで確認します。力強い増配と、株価の高さゆえの低利回りの両面に注目してください。
| 期間 | 最大 | 平均 | 最小 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 1.31% | 0.97% | 0.57% |
| 3年 | 1.31% | 0.97% | 0.57% |
| 1年 | 1.16% | 0.85% | 0.57% |
| 現在 | 0.96% | — | — |
| 会計年度 | 1株配当(分割調整済) | 配当性向 | EPS |
|---|---|---|---|
| 2016年8月期 | 116.67円 | 74.26% | 157円 |
| 2017年8月期 | 116.67円 | 29.92% | 390円 |
| 2018年8月期 | 146.67円 | 28.99% | 506円 |
| 2019年8月期 | 160.00円 | 30.13% | 531円 |
| 2020年8月期 | 160.00円 | 54.23% | 295円 |
| 2021年8月期 | 160.00円 | 28.86% | 554円 |
| 2022年8月期 | 206.67円 | 7.73% | 2674円 |
| 2023年8月期 | 290.00円 | 30.02% | 966円 |
| 2024年8月期 | 400.00円 | 32.98% | 1213円 |
| 2025年8月期 | 500.00円 | 35.42% | 1412円 |
※連続増配・非減配の年数は自動算出値です。重要な投資判断の前には、企業のIR資料での確認を推奨します。
4年連続増配、非減配14年——長期にわたり安定した株主還元を続けてきました。1株配当は近年160円から500円へと力強く伸び、増配のペースは目を見張るものがあります。配当性向は35.4%と無理のない水準で、増配余地も残されています。ただし利回りは0.96%と低い——これは増配以上に株価が高く評価されている裏返しです。還元姿勢そのものは積極的ですが、インカム目的で見るには利回りが物足りないのが実情です。
3. 業績と財務の安定性
その増配を支える、成長企業らしい高い収益力を見ていきます。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| ROE | 20.19% |
| ROA | 11.22% |
| 自己資本比率 | 58.90% |
| EPS / BPS | 1411 / 7409 |
| 収益性スコア | 3.30 |
| 還元スコア | 1.98 |
| 割安スコア | 2.13 |
ROE20.2%、ROA11.2%と高い収益性を誇り、自己資本比率58.9%と財務も健全です。EPSは1,411円に達します。SPAモデルによる高い商品力と、海外事業の成長が、この高収益を生み出しています。稼ぐ力・財務の健全性ともに、成長企業として申し分のない水準です。
4. 割安度(買い時か)
PERは33.0倍、PBRは6.29倍と、高い成長期待をたっぷり織り込んだプレミアム評価です。自社利回り比は0.40と低く、利回り面での割安感はありません。市場はファーストリテイリングの成長性を株価に存分に反映しています。「割安な配当株」を探す対象というより、世界的な成長そのものを買う銘柄です。
過去5年の配当利回りのレンジから、株価の買い時・売り時の目安を機械的に示したものです(配当が今の水準を保つ前提の簡易ガイドで、業績変化は織り込みません)。
| 区分 | 株価水準(対応利回り) |
|---|---|
| 現在株価 | 85170円(利回り0.96%) |
| 買い目安(5年平均利回り) | 84536円(利回り0.97%) |
| 強い買い目安(5年最高利回り) | 62595円(利回り1.31%) |
| 売り目安(5年最低利回り) | 143860円(利回り0.57%) |
現在株価は買い目安(84536円)と売り目安(143860円)の間にある中立圏です。買い目安まではあと約0.7%の下落余地。利回りの妙味を重視するなら、買い目安への接近を待つ判断も理にかないます。
5. 総合判断
総合判定: 中立(スコア 93.7)
明確な買いシグナルも売りシグナルも弱く、現状維持・様子見が妥当な水準です。利回りだけでなく財務・増配記録を総合して判断してください。
判定根拠: 割安感が乏しい/自社平均より低利回り
総合スコアは93.7と企業の質は高く、4年連続増配と還元姿勢も良好です。判定は「中立」ですが、これは利回り0.96%という水準が配当妙味に欠けるためで、企業への評価とは別物。この銘柄は、目先のインカムではなくユニクロの世界的成長に投資する——そんなスタンスでこそ輝く一社です。配当は「成長のおまけ」と捉え、企業価値の拡大に期待するのが似合います。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

