用語の解説(クリックで開く)
- 配当利回り
- 直近1年の配当金合計 ÷ 現在株価 × 100(%)。高いほどインカムが厚い目安。
- 配当性向
- 配当金 ÷ 当期純利益 × 100(%)。30〜50%が安心ゾーン。80%超は持続性に注意。
- PER
- 株価 ÷ 1株利益。低いほど利益に対し割安とされる(業種差あり)。
- PBR
- 株価 ÷ 1株純資産。1倍割れは資産に対し割安の目安(業種差あり)。
- ROE
- 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)。資本効率の指標。10%以上なら優良の目安。
- ROA
- 当期純利益 ÷ 総資産 × 100(%)。会社全体の資産効率。
- DOE
- 配当金 ÷ 自己資本 × 100(%)。利益より変動しにくい自己資本が分母なので、配当の安定方針が読み取れる。日本企業はおおむね2〜4%、中央値は3%前後。
- 自社利回り比(sy)
- 現在利回り ÷ 過去5年平均利回り。1超なら自社の過去より割安な水準。
- 連続増配
- 分割調整済み配当が前年比で増えた年数。同額維持は非減配として別途カウント。
- 非減配
- 配当を減らしていない年数(増配または同額維持)。長いほど配当が安定。
- 自己資本
- 会社の資産のうち返済不要な株主のお金。純資産ともいう。
- 自己資本比率
- 自己資本 ÷ 総資産 × 100(%)。高いほど借金依存が低く財務が頑丈。
- フリーキャッシュフロー
- 本業で稼いだ現金から投資を引いた残り。配当の原資。マイナス続きは要注意。
- 時価総額
- 株価 × 発行済株式数。会社の市場価値。大きいほど値動きが安定しやすい。
- EPS
- 1株あたり利益。配当の元手。EPSが伸びれば増配余地も広がる。
- BPS
- 1株あたり純資産。会社の解散価値の目安。
- 営業利益率
- 営業利益 ÷ 売上高 × 100(%)。本業の稼ぐ力。
- 5年平均利回り水準
- 配当利回りが過去5年平均に一致する株価。今の株価がこれより下なら、利回りは5年平均より高い。
- 5年最低利回り水準
- 配当利回りが過去5年の最低まで下がる株価。今の株価がこれより上なら、利回りは5年で最も低い側。
- 減配
- 配当を前年より減らすこと。配当株投資では最も避けたいイベント。
1. 企業概要
伊藤忠商事(8001)は卸売業の企業です。まずは配当の全体像を数字で押さえましょう。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 銘柄コード | 8001 |
| 業種 | 卸売業 |
| 配当利回り(株価ベース) | 2.15% |
| 1株配当(最新期・分割調整済) | 42.00円 |
| 総合判定 | 中立 |
| 総合スコア | 85.2 |
| 連続増配 | 4年 |
| 非減配 | 4年 |
| 配当性向 | 32.81% |
| PER / PBR | 15.43 / 2.09 |
| ROE | 14.59% |
| DOE(株主資本配当率) | 4.92%(業種中央値 2.66%) |
伊藤忠商事は繊維・機械・金属・エネルギー・食料・住生活・情報金融の7分野を持つ総合商社です。資源だけに偏らない非資源分野の厚みが特徴で、コンビニ(ファミリーマート)や食品流通など生活に近い事業を多く抱えています。
ROEは14.59%。業種(卸売業)中央値7.78%を大きく上回り、総合商社の中でも収益効率の高さで知られてきた会社です。PERは15.43倍、PBRは2.09倍。自己資本比率は39.38%で、資源価格の変動に対する耐性も一定水準あります。
EPSは128.00円、BPSは942.78円。1株あたりの利益水準から見ても、稼ぐ力はしっかり数字に表れています。
2. 配当の魅力
配当利回りの水準と、増配・非減配の記録を見ていきます。下の表とグラフが手がかりです。
| 期間 | 最大 | 平均 | 最小 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 4.49% | 3.10% | 1.87% |
| 3年 | 3.57% | 2.68% | 1.87% |
| 1年 | 2.79% | 2.27% | 1.87% |
| 現在 | 2.15% | — | — |
| 会計年度 | 1株配当(分割調整済) | 配当性向 | EPS |
|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 22.00円 | 19.90% | 111円 |
| 2023年3月期 | 28.00円 | 25.64% | 109円 |
| 2024年3月期 | 32.00円 | 28.93% | 111円 |
| 2025年3月期 | 40.00円 | 32.49% | 123円 |
| 2026年3月期 | 42.00円 | 32.81% | 128円 |
DOEで見る減配しにくさ
DOEは配当÷自己資本。利益は年ごとにブレます。でも自己資本はそう簡単には減りません。だからDOEが高い会社ほど、業績が少し傾いても配当を保ちます。
この会社のDOEは4.92%。全国の中央値3%を超え、業種中央値は2.66%も上回ります。自己資本にしっかり配当を回す会社です。少しくらい業績が落ちても、配当はそう簡単に減りません。
いまの利回りは2.15%。5年平均の3.10%より低い位置にいます。5年間の最高は4.49%でした。
直近1年の平均利回り(2.27%)は5年平均(3.10%)より低め。ここ数年は株高が続き、利回りが縮んでいる時期だったと読めます。
1株配当は2022年の22円から2026年予想42円まで、4年でほぼ倍増しました。棒グラフが右肩上がりに伸びているのが分かります。
※連続増配・非減配の年数は自動算出値です。重要な投資判断の前には、企業のIR資料での確認を推奨します。
配当利回りは2.15%。過去5年平均の3.10%を下回り、直近1年平均も2.27%です。株価の上昇スピードが配当の増加ペースを上回ってきた結果、利回りは縮小方向にあります。5年間のレンジは最大4.49%・最小1.87%でした。
1株配当は2022年の22円から2026年予想の42円まで、4年でほぼ倍増しています。連続増配は4年、非減配も4年です。※連続増配・非減配の年数は自動算出値です。重要な投資判断の前には、企業のIR資料での確認を推奨します。
DOEは配当÷自己資本。伊藤忠商事のDOEは4.92%で、全国の中央値3%はもちろん、業種中央値2.66%も上回ります。自己資本に対してしっかり配当を回す方針が数字に出ており、業績が多少ぶれても配当を維持しやすいタイプだと読めます。
3. 業績と財務の安定性
配当を支える収益力と財務の健全性を確認します。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| ROE | 14.59% |
| ROA | 5.38% |
| DOE | 4.92% |
| 自己資本比率 | 39.38% |
| EPS / BPS | 128 / 943 |
| 収益性スコア | 1.69 |
| 還元スコア | 1.42 |
| 割安スコア | — |
ROAは5.38%で、業種中央値3.59%を上回ります。資産全体を使った稼ぐ力でも同業平均を超えており、ROE・ROAの両輪で高水準です。自己資本比率39.38%は総合商社としては厚めで、財務の土台は安定しています。
フリーキャッシュフローは+7,430億円のプラス。営業で稼いだ現金が投資を上回っており、資源投資サイクルの影響を受けにくい財務体質がうかがえます。これが後述するスコアで「除外」を回避している一因です。
配当性向は32.81%。利益のうち配当に回す割合としては、30〜50%の安心ゾーンの下寄りに収まっています。増配を続けながらも性向を上げすぎていない点は、増配余地の面でも読み取れます。
4. 割安度
総合スコアによる区分は「中立」です。自社利回り比(sy)は0.69で、今の利回り2.15%は過去5年平均3.10%より低く、株価は自社の過去水準と比べて高い側にあります。
株価水準では、現在の1,957.5円に対し、利回りが5年平均に戻る株価は1,354.8円。今の株価はそこから約30.8%下がった位置にあります。5年で最も利回りが低かった時の株価水準は2,246.0円で、現在地はその手前です。売買を推奨するものではありませんが、自社の過去レンジの中でどのあたりかの参考にしてください。
ROE・ROAともに業種平均を上回り、フリーキャッシュフローもプラス。収益力と財務の健全性という土台は強く、スコアが伸び悩んでいるのは主に「利回りが自社の過去平均より低い」という株価側の要因です。
過去5年の配当利回りレンジを、株価の水準に置き換えたものです。いまの株価がそのレンジのどこにあるかを示します。前提は「配当が今の水準を保つこと」で、業績の変化は織り込んでいません。売買を推奨するものではありません。
| 区分 | 株価水準(対応利回り) |
|---|---|
| 現在株価 | 1958円(利回り2.15%) |
| 5年平均利回りに戻る株価 | 1355円(利回り3.10%) |
| 5年最高利回り時の株価 | 935円(利回り4.49%) |
| 5年最低利回り時の株価 | 2246円(利回り1.87%) |
いまの株価は1355円(5年平均利回り水準)と2246円(5年最低利回り水準)のあいだにあります。利回りが5年平均に戻るには、株価が約30.8%下がる計算です。
株価は1,354.8円(5年平均利回り水準)と2,246.0円(5年最低利回り水準)のあいだにあります。過去5年の利回りレンジで見れば、株価はやや高い側です。
5. 総合判断
総合判定: 中立(スコア 85.2)
総合スコアは中位です。株価は自社の過去利回りレンジのなかほどにあります。利回り・財務・増配記録を合わせて確認してください。
判定根拠:
自社平均より低利回り
+ ROE10%以上の高収益
+ 3年連続増配
+ DOE2%以上かつ業種平均以上(還元姿勢良好)
総合スコアは85.2点、判定は「中立」です。ROE10%以上の高い収益性、4年連続の増配、業種平均を上回るDOEという加点材料が揃っています。フリーキャッシュフローもプラスで、資源価格に左右されやすい商社の中では守りの堅いバランスシートです。
異常値の検知はなく、減配の実績もありません。配当の記録・財務の健全性ともに材料は良好で、スコアが伸びない主因は株価が自社の過去利回り水準に対して高めに推移している点にあります。増配ペースが今後も続くか、決算での配当方針の言及を追う価値があります。
6. よくある質問
伊藤忠商事の株価は割安ですか、割高ですか?
配当利回りは2.15%で、過去5年平均の3.10%を下回る水準です。総合スコアによる区分は「中立」です。売買を推奨するものではありません。
同社は何年連続で増配していますか?
4年連続で増配しています(株式分割調整後の1株配当ベース)。また4年間、配当を減らしていません。
同社の配当性向はどのくらいですか?
配当性向は約33%です。一般に30〜50%が無理のない理想帯とされます。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

