用語の解説(クリックで開く)
- 配当利回り
- 直近1年の配当金合計 ÷ 現在株価 × 100(%)。高いほどインカムが厚い目安。
- 配当性向
- 配当金 ÷ 当期純利益 × 100(%)。50%前後が一般的。80%超は持続性に注意。
- PER
- 株価 ÷ 1株利益。低いほど利益に対し割安とされる(業種差あり)。
- PBR
- 株価 ÷ 1株純資産。1倍割れは資産に対し割安の目安(業種差あり)。
- ROE
- 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)。資本効率の指標。
- DOE
- 配当金 ÷ 自己資本 × 100(%)。自己資本に対する還元の厚さ。
- 自社利回り比(sy)
- 現在利回り ÷ 過去5年平均利回り。1未満は株価上昇で利回りが相対的に低下。
- 連続増配
- 分割調整済み配当が前年比で増えた年数。同額維持は非減配として別途カウント。
1. 企業概要
利回り4%超の高配当通信株、ソフトバンク。PayPay経済圏を擁するこの会社の配当を、その持続性とあわせて見ていきます。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 銘柄コード | 9434 |
| 業種 | 情報・通信業 |
| 配当利回り(株価ベース) | 4.01% |
| 1株配当(最新期・分割調整済) | 8.60円 |
| 総合判定 | 中立 |
| 総合スコア | 89.8 |
| 連続増配 | 0年 |
| 非減配 | 7年 |
| 配当性向 | 75.77% |
| PER / PBR | 18.60 / 3.83 |
| ROE | 19.32% |
ソフトバンク(9434)は、「ソフトバンク」ブランドの携帯通信を主力とする国内3位の通信事業者です(投資会社のソフトバンクグループとは別会社)。通信に加え、PayPayを中核とする金融・決済「PayPay経済圏」や、ヤフー・LINEを擁するメディア事業、法人向けDX・AIへと事業を広げています。通信の安定収益と、拡大する非通信領域——高い株主還元を掲げる、高配当株の代表格です。
2. 配当の魅力
利回りと配当の推移を、表とグラフで確認します。本レポート随一の高利回りと、その持続性の両面に注目してください。
| 期間 | 最大 | 平均 | 最小 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 7.65% | 5.51% | 3.62% |
| 3年 | 6.41% | 4.59% | 3.62% |
| 1年 | 4.23% | 4.01% | 3.62% |
| 現在 | 4.01% | — | — |
| 会計年度 | 1株配当(分割調整済) | 配当性向 | EPS |
|---|---|---|---|
| 2019年3月期 | 3.75円 | 41.67% | 9円 |
| 2020年3月期 | 8.50円 | 85.63% | 10円 |
| 2021年3月期 | 8.60円 | 82.81% | 10円 |
| 2022年3月期 | 8.60円 | 78.09% | 11円 |
| 2023年3月期 | 8.60円 | 76.42% | 11円 |
| 2024年3月期 | 8.60円 | 83.36% | 10円 |
| 2025年3月期 | 8.60円 | —% | —円 |
| 2026年3月期 | 8.60円 | 75.77% | 11円 |
※連続増配・非減配の年数は自動算出値です。重要な投資判断の前には、企業のIR資料での確認を推奨します。
現在の利回りは4.01%と、本レポートで取り上げた銘柄の中でも最も高い水準です。非減配7年——上場以来、配当を減らすことなく安定した還元を続けてきました。分割を調整した1株配当は近年ほぼ横ばいで推移しており、当システム基準の連続増配は0年。その理由は配当性向にあります——75.8%と高く、利益の大半を配当に回しているため、大幅な増配の余地は限られます。高利回りは大きな魅力ですが、その持続性は今後の利益成長にかかっている点は押さえておきたいところです。
3. 業績と財務の安定性
その高配当を支える収益力と、財務の特徴を見ていきます。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| ROE | 19.32% |
| ROA | 2.98% |
| 自己資本比率 | 15.99% |
| EPS / BPS | 11 / 55 |
| 収益性スコア | 1.30 |
| 還元スコア | 4.06 |
| 割安スコア | 1.80 |
ROEは19.3%と高い水準ですが、これは自己資本比率16.0%(=負債活用度が高い)ことの裏返しでもあり、額面通りの資本効率とは読み切れません。ROAは2.98%、EPSは11円です。通信事業が生む安定したキャッシュフローが高い還元を支えていますが、財務レバレッジは高め。PayPay経済圏など非通信領域の成長が、今後の利益とキャッシュフローをどれだけ押し上げるかが鍵となります。
4. 割安度(買い時か)
PERは18.6倍、PBRは3.83倍。自社利回り比は0.73で、現在の利回りは自社の過去水準にやや近い水準です。4%超という絶対利回りは魅力的ですが、それは高い配当性向という「増配余地の乏しさ」の対価でもある——数字の見た目だけでなく、その持続性の中身を理解しておきたい銘柄です。
過去5年の配当利回りのレンジから、株価の買い時・売り時の目安を機械的に示したものです(配当が今の水準を保つ前提の簡易ガイドで、業績変化は織り込みません)。
| 区分 | 株価水準(対応利回り) |
|---|---|
| 現在株価 | 214円(利回り4.01%) |
| 買い目安(5年平均利回り) | 156円(利回り5.51%) |
| 強い買い目安(5年最高利回り) | 112円(利回り7.65%) |
| 売り目安(5年最低利回り) | 238円(利回り3.62%) |
現在株価は買い目安(156円)と売り目安(238円)の間にある中立圏です。買い目安まではあと約27.2%の下落余地。利回りの妙味を重視するなら、買い目安への接近を待つ判断も理にかないます。
5. 総合判断
総合判定: 中立(スコア 89.8)
明確な買いシグナルも売りシグナルも弱く、現状維持・様子見が妥当な水準です。利回りだけでなく財務・増配記録を総合して判断してください。
判定根拠: 割安感が乏しい/自社平均より低利回り
総合スコアは89.8、利回り4.01%は本レポート最高水準で、非減配7年という安定感もあります。それでも判定は「中立」。配当性向75.8%が示す通り、増配余地は乏しく、高利回りの持続は今後の利益成長次第だからです。安定した高いインカムを重視する投資家には魅力的な一方、増配は期待しにくい——その性格を理解したうえで、PayPay経済圏の成長に期待しつつ付き合うのが賢明な一社です。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

