用語の解説(クリックで開く)
- 配当利回り
- 直近1年の配当金合計 ÷ 現在株価 × 100(%)。高いほどインカムが厚い目安。
- 配当性向
- 配当金 ÷ 当期純利益 × 100(%)。50%前後が一般的。80%超は持続性に注意。
- PER
- 株価 ÷ 1株利益。低いほど利益に対し割安とされる(業種差あり)。
- PBR
- 株価 ÷ 1株純資産。1倍割れは資産に対し割安の目安(業種差あり)。
- ROE
- 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)。資本効率の指標。
- DOE
- 配当金 ÷ 自己資本 × 100(%)。自己資本に対する還元の厚さ。
- 自社利回り比(sy)
- 現在利回り ÷ 過去5年平均利回り。1未満は株価上昇で利回りが相対的に低下。
- 連続増配
- 分割調整済み配当が前年比で増えた年数。同額維持は非減配として別途カウント。
1. 企業概要
24年連続増配——この一点だけで、KDDIは配当投資家が知っておくべき筆頭格です。日本屈指の増配王の配当を、全体像から見ていきます。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 銘柄コード | 9433 |
| 業種 | 情報・通信業 |
| 配当利回り(株価ベース) | 2.85% |
| 1株配当(最新期・分割調整済) | 80.00円 |
| 総合判定 | 中立 |
| 総合スコア | 58.0 |
| 連続増配 | 24年 |
| 非減配 | 26年 |
| 配当性向 | 43.58% |
| PER / PBR | 14.83 / 2.04 |
| ROE | 13.99% |
KDDIは、「au」ブランドで知られる国内2位の総合通信事業者です。主力の通信事業に加え、au PAYや auじぶん銀行などの金融、でんき、DXといった「ライフデザイン領域」を第2の柱に育てています。通信という景気に左右されにくい安定収益を土台に、非通信事業で成長を上乗せする——この盤石なビジネスモデルが、驚異的な連続増配を支える原動力です。
2. 配当の魅力
本銘柄の真骨頂は、圧倒的な増配の継続力です。利回りと配当履歴を、表とグラフでじっくり確認しましょう。
| 期間 | 最大 | 平均 | 最小 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 4.39% | 3.45% | 2.85% |
| 3年 | 3.77% | 3.25% | 2.85% |
| 1年 | 3.51% | 3.12% | 2.85% |
| 現在 | 2.85% | — | — |
| 会計年度 | 1株配当(分割調整済) | 配当性向 | EPS |
|---|---|---|---|
| 2017年3月期 | 42.50円 | 38.35% | 111円 |
| 2018年3月期 | 45.00円 | 38.21% | 118円 |
| 2019年3月期 | 52.50円 | 40.52% | 130円 |
| 2020年3月期 | 57.50円 | 41.71% | 138円 |
| 2021年3月期 | 60.00円 | 84.46% | 71円 |
| 2022年3月期 | 62.50円 | 41.66% | 150円 |
| 2023年3月期 | 67.50円 | 43.51% | 155円 |
| 2024年3月期 | 70.00円 | 46.47% | 151円 |
| 2025年3月期 | 72.50円 | 89.58% | 81円 |
| 2026年3月期 | 80.00円 | 43.58% | 184円 |
※連続増配・非減配の年数は自動算出値です。重要な投資判断の前には、企業のIR資料での確認を推奨します。
連続増配24年、非減配26年——本レポートで取り上げたどの銘柄をも上回る、日本株でも屈指の圧巻の増配記録です。分割を調整した1株配当は、四半世紀にわたって一度も止まることなく積み上がり続けてきました。配当性向は43.6%と持続性の高い水準で、まだ増配の余地を残します。加えてKDDIは自社株買いにも積極的で、配当と自社株買いの両輪で株主に報いる姿勢は一貫しています。利回り2.85%——「増やし続ける」という約束を、これほど長く守ってきた実績は、何物にも代えがたい信頼です。
3. 業績と財務の安定性
その増配を支える、安定した収益力と財務を見ていきます。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| ROE | 13.99% |
| ROA | 3.71% |
| 自己資本比率 | 26.63% |
| EPS / BPS | 184 / 1334 |
| 収益性スコア | 1.31 |
| 還元スコア | 1.26 |
| 割安スコア | 1.14 |
ROEは14.0%と良好で、ROA3.71%、自己資本比率26.6%。EPSは184円です。通信事業が生む安定したキャッシュフローが、24年連続増配という長期の約束を可能にしてきました。景気変動に強い事業構造と、非通信領域の成長が、還元を続けるための原資を絶えず生み出しています。
4. 割安度(買い時か)
PERは14.8倍、PBRは2.04倍と、安定成長と増配実績を織り込んだ標準的な評価です。自社利回り比は0.73で、現在の利回りは自社の過去水準にやや近い水準。極端な割高ではなく、増配の継続力を考えれば、押し目では十分に検討に値します。
過去5年の配当利回りのレンジから、株価の買い時・売り時の目安を機械的に示したものです(配当が今の水準を保つ前提の簡易ガイドで、業績変化は織り込みません)。
| 区分 | 株価水準(対応利回り) |
|---|---|
| 現在株価 | 2805円(利回り2.85%) |
| 買い目安(5年平均利回り) | 2319円(利回り3.45%) |
| 強い買い目安(5年最高利回り) | 1822円(利回り4.39%) |
| 売り目安(5年最低利回り) | 2807円(利回り2.85%) |
現在株価は買い目安(2319円)と売り目安(2807円)の間にある中立圏です。買い目安まではあと約17.3%の下落余地。利回りの妙味を重視するなら、買い目安への接近を待つ判断も理にかないます。
5. 総合判断
総合判定: 中立(スコア 58.0)
明確な買いシグナルも売りシグナルも弱く、現状維持・様子見が妥当な水準です。利回りだけでなく財務・増配記録を総合して判断してください。
判定根拠: 割安感が乏しい/自社平均より低利回り
総合スコアは58.0ですが、24年連続増配という還元の継続力は、スコアという物差しだけでは測りきれない価値を持ちます。判定「中立」は現在の利回り・割安面を反映したものですが、四半世紀ブレなかった増配の一貫性は、配当を長期で育てたい投資家にとって最高クラスの安心材料。通信という安定基盤の上で「増やし続ける」というKDDIの物語は、静かに、しかし確かに続いています。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

